何キロ痩せれば気づいてもらえる?(shutterstock.com)
あなたが「よし、ダイエットしよう!」と決心する、いちばんの動機は何だろう? 純粋に自分の健康のためだけにストイックになれる人もいるだろう。でもやはり、「見た目が美しくなりたい」、「若々しくなりたい」というモチベーションこそが、多くの人にとって、つらい食事制限や運動を頑張る原動力になるものではないだろうか。
ところで、ダイエットで見た目に変化が表れて、周囲から「格好良くなった」「綺麗になった」と言われるためは、一体どのくらい痩せなければならないのだろう? こんな疑問に答えてくれるユニークな研究報告が「Social Psychological and Personality Science」2016年1月号に掲載された。
女性は−3.5㎏で痩せたと認識される
この研究はカナダ・トロント大学准教授のNicholas Rule氏らによるもの。まずはアクセサリーを外して髪の毛をまとめ、できるだけ表情を作らないようにした20~30代の男女の顔写真を撮影する。次にそれらの写真を少しずつ加工し、BMI指数(体重[kg]÷ 身長[m]÷ 身長[m])が軽肥満の「30」から低体重の「18.5」までの状態を想定した写真群を制作した。
そして、この写真群の中からランダムに選んだ2枚の顔写真を100人の被験者に見せ、「太っている」と思うほうを選んでもらった。その回答をもとに、他人がその人の顔を見たときに、「ダイエットしている」と気づくのに必要な体重減少量を算出した。
その結果、顔を見て「もしかして痩せた?」と気づかれるためには、平均身長の男性の場合で平均4㎏、女性の場合で平均3.5㎏の減量が必要であることがわかった。逆に、顔の脂肪量がわずかに増加しただけでも、多くの被験者が「もう片方よりも不健康そうに見える」と判断していたという。
Rule氏は「顔はその人の健康状態を明確に表している。顔面の脂肪量の増加は、免疫力の低下や心血管の健康の悪化などと関連している。そのためわずかな変化であっても、健康の改善に関連している可能性がある」と分析する。
顔の脂肪量は、その人のBMI(肥満度)と一致しているとも言われる。裏を返せば、見た目の変化を印象づけるには「顔痩せ」を頑張ることがいちばん手っ取り早いということだろう。