連載「乳酸菌で腸内環境を改善、がんも予防!」第6回

病気を未然に防ぐ「プロバイオティクス」「プレバイオティクス」に熱い注目が

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乳酸菌と一緒にオリゴ糖や食物繊維も (shutterstock.com)

 あなたは「プロバイオティクス」という言葉をご存知だろうか。

 これからの時代は、病気にかかってから薬を飲んで治すよりも、いかに病気を予防するかが大切だ、と言われている。そんな考え方から期待されているのが、プロバイオティクスだ。

腸内フローラ(腸内菌叢)のバランスを整える

 我々の腸の中には、数百種類、100兆個にも及ぶ腸内細菌が棲み着いている。これらの細菌は、ただ無秩序に存在しているわけではなく、ちょうど自然の草花のように、それぞれテリトリーを持ちながら集団をつくっている。そのため、このような細菌の集団のことを「腸内フローラ(腸内菌叢)」と呼ぶ。

 プロバイオティクスを直訳すると「共生物質」。英国の微生物学者ロイ・フラー(Roy Fuller)の1989年の定義によると「腸内フローラのバランスを整えることで人や動物に有益な作用をもたらす生きた微生物」とされる。また、そのような微生物を含むヨーグルトや乳酸菌飲料などの食品自体のことをプロバイオティクスと呼ぶこともある。

 プロバイオティクスの対語となるのは「アンティバイオティクス」、日本語にすると「抗生物質」だ。抗生物質は有害な微生物を殺すことが目的であり、それで病気の原因菌を倒すことができる。しかし、その副作用として、他の菌を殺してしまうことあるため、腸内フローラのバランスを崩してしまう可能性がある。

 一方、プロバイオティクスは、有益な微生物を利用して、健康を増進して病気になるのを防ごうというもの。摂取しても副作用などは起こらない。

 その代表となるのが乳酸菌だ。ただし、乳酸菌ならなんでもよいというものではなく、プロバイオティクスの条件としては次のようなものが挙げられる。

▶︎安全性がしっかり保証されている
▶︎宿主に明らかに有用効果が発揮される
▶︎人の腸内フローラを構成している細菌
▶︎安価で容易に製造できる
▶︎食品などの形態で高い菌数を保持できる
▶︎生きたまま腸内まで到達できる

 その結果、整腸作用や免疫機能調整作用、発がんリスク低減作用、動脈硬化の予防、抗アレルギー作用、血圧降下作用などの効果を得ることが期待できる。

後藤利夫(ごとう・としお)

新宿大腸クリニック院長。1988年、東京大学医学部卒業。92年、東京大学附属病院内科助手。「大腸がん撲滅」を目標に独自の無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法を開発。大腸内視鏡40000件以上無事故の大腸内視鏡のマイスター医師。一般社団法人・食と健康協会顧問。著作に『あなたの知らない乳酸菌力』(小学館)、『その便秘こそ大腸ガンの黄信号』(祥伝社)、『腸イキイキ健康法』(主婦と生活社)、『腸をきれいにする特効法101』(主婦と生活社)、『腸いきいき健康ジュース』など多数。大腸がんのインターネット無料相談も実施中。
新宿大腸クリニック
公式HP http://www.daicho-clinic.com

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