連載「死の真実が“生”を処方する」第21回

学校での死傷を防ぎ安全な学校をつくる「インターナショナルセーフスクール」とは?

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 平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、多くの児童生徒が犠牲となりました。報道を通じてご存じかと思いますが、ある学校では教諭による避難指示が不適切であったことにより、津波にのみこまれて多くの児童生徒を失いました。

 しかし、日頃からの徹底した津波や防災教育によって、想定された避難場所が危険であることを児童生徒自らが判断した例もありました。津波を予測し、初期の避難から、さらに安全な場所に避難して津波による危険を回避した学校などもありました。危機管理がすべての学校へ浸透していなかったということなのです。

学校安全の推進に関する計画

 以上のような背景から、学校安全に係る取り組みを推進する重要性がより一層認識されるようになりました。そして、政府は平成24年4月27日に、学校安全の推進に関する計画を制定し、学校における負傷を減少させ、死亡をゼロにするよう最大限の努力を払うべきことが明記されました。

 その実施にあたっては「セーフティプロモーション」の考え方に則ること、すなわち、なぜ事故や犯罪が起きたのか、どのような対策で予防できるかなどを、正確な情報収集に基づき科学的に検討して実践することも奨励されました。

 そして、安全推進にかかわる様々な機関が連携して取り組むことが重要とされました。学校において安全点検を行い、必要に応じて警察などに提言することが重要である、とも記されています。

 また、「インターナショナルセーフスクール」の取り組みなどにも留意すべきと記されていました。これは一体どのようなことでしょうか。

 インターナショナルセーフスクールとは、負傷及びその原因となる事故、いじめ、暴力を予防することによって、安全で健やかな学校づくりを進める活動です。全世界で進められていますが、審査機関からの認証を受けることによって、安全な学校づくりのための仕組みが確立され、機能していることが証明されます。

 もちろん、認証されるためには運営体制や様々なプログラムが整っていなければならず、厳しい審査があります。平成25年4月現在、全世界で約130の学校が認証されています。日本では3校のみですが、最初に認証されたのが、かつての悲惨な事件現場である大阪教育大学附属池田小学校なのです。

 多くの子どもの命や傷が無駄にならないように、世界一安全な学校に生まれ変わらせる。これが天国の子どもたちとご遺族との約束だったのです。


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一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)
滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授。厚生労働省死体解剖資格認定医、日本法医学会法医認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(理事)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)など。

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