初期段階は「できること」がたくさんある asa/PIXTA(ピクスタ)
「ドラえもん」の声でおなじみの声優・大山のぶ代さんが認知症を患っていることがニュースになって久しい。衝撃を受けた人は多いことだろう。
大山さんは2008年に脳梗塞を起こして入院。脳梗塞の後遺症と認知症の始まりが重なり、夫の砂川啓介さんはなかなか気づかず、正式に認知症の診断を受けたのは2012年のこと。そして3年を経て、今年病名を公表した。
砂川さんは出演したテレビ番組で、大山さんについて「まだ仕事をしている」と語った。人気ゲームが原作の舞台「ダンガンロンパ2THE STAGE~さよなら絶望学園~」で、声による出演をしたという。共演者はもちろん、視聴者の多くが「認知症になっても仕事ができるの!?」と驚いたに違いない。
できることも多い「空白の期間」
認知症の中核症状には、主に次のようなものがある。
記憶がすっぽり抜け落ちる「記憶障害」、日時や場所がわからなくなる「見当識障害」、あいまいな表現が理解できなかったり、洋服の着方がわからなくなったりする「実行機能障害」、言葉を失ったりする「高次脳機能障害」など。さらに、周辺症状として徘徊や妄想、せん妄、失禁、異食、うつなどが挙げられる。
このような症状を並べると、「認知症になったらおしまい」と絶望的な気持ちになってしまうことだろう。だが、認知症だと診断された人のすべてが、いきなり「何もわからない」状態に陥るわけではない。同様に「何もできなくなる」というわけでもないのだ。
認知症の初期の人は、不安がいっぱいだ。友人との約束をすっかり忘れていたり、歩き慣れた道でも家の帰り方がわからなくなったりするようなことが続けば、不安にかられるのも仕方がない。ただし、日常生活を送れているから、この段階で介護サービスを受けるには至らない。
では、介護サービスが必要となる時期まで、つまり認知症が重症化するまでの「空白の期間」は、手をこまねいているしかないのか。