ペットの高齢化は介護問題を生み出した(写真:大塚敦子)
近年、犬の認知症が増えている。認知症の犬が増えた背景は、ペットの高齢化にある。
長いこと、犬たちの寿命は数年程度、人間なら40代〜50代だった。だが、動物医療が劇的に向上。おかげで、フィラリアをはじめとする伝染病を予防したり、さまざまな病気を治療できるようになった。また、未曾有のペットブームで、飼育環境や食事など、犬たちの生活レベルがぐんと良くなった。
今では、犬が10年以上生きるのは当たり前。小型〜中型の犬では、平均寿命12〜15年とされている。だが、寿命が延びれば、人間と同様に、老いが訪れる。犬にも高齢化に伴う、さまざまな問題が生じている。
高齢化につきものなのが、介護。とくに認知症になると、失禁、歩行困難などの身体介護のほか、次のような症状に悩まされる。
犬の認知症の主な症状
・夜鳴き
・旋回運動(同じところでぐるぐると回る)
・後退できない(狭いところに頭を突っ込んで身動き取れなくなる)
・昼夜逆転
・食欲異常
いざ、愛犬にこうした症状が出始めると、飼い主たちは、戸惑ったり、悲しんだりしながらも、やがて現実を受け入れ、徐々に、介護生活にシフトしていく。人間社会のように、介護サービスなどが充実していない犬の介護は、想像以上に大変だ。うまく自分自身の生活と、折り合いがつけられればいいが、飼い主の中には、身を削る思いで介護生活に従事し、心身共に疲弊して、バーンアウトするケースも少なくない。