連載「グローバリズムと日本の医療」第10回 

女性医師の割合は日本が約20%、米国が約33%! 「一億総活躍社会」で女医が増える?

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 以上のように、アメリカでは女性の社会進出、特に社会的に地位が高く、高所得層に多く進出していることがわかります。

 さて、安倍首相が唱える「一億総活躍社会」というのは、どういうものでしょうか? 家庭にいる女性を、低賃金労働者として社会に引っ張り出そうとしているものなのでしょうか? そして、なぜ日本では医師の世界に、これほどまで女性が少ないのでしょうか?

 ひと昔前は「女性は理数系が弱い」などといわれていましたが、アメリカの例を見るとどうも頷けません。むしろ、「女性は理数系に弱い」とい言説の背景には、日本社会の暗黙の風潮、伝統、文化があるのかもしれません。

 日本がアメリカのようになる必要は微塵もありません。重要なことは、誰もに門戸を開き機会を与えることです。日本では、男性でも女性でも、医師になりたいという意志と、それに見合う能力があれば、医師になれる機会がある。この機会を確保しておけば、あとは自由競争に任せるべきでしょう。女性医師の割合を、国家のテコ入れによって人工的に増やすべきではない。機会の確保と選択の自由こそ社会の活力源ではないでしょうか。


連載「グローバリズムと日本の医療」バックナンバー

杉田米行(すぎた・よねゆき)

大阪大学大学院言語文化研究科教授。米国ウィスコンシン大学マディソン校大学院歴史学研究科修了(Ph.D.)。専門分野は国際関係と日米医療保険制度。

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杉田米行
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