持病を抱える安倍首相にも朗報? 「炎症性腸疾患」に新たな治療法開発の可能性

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
abeshinzou.jpg

健康上の問題を理由に首相を辞任したのは2007年9月(写真は安倍首相のFacebookより)

 現在、この国の「顔」である安倍晋三首相。ご存知のように、彼は以前、健康の問題を理由に、突然、首相を辞めている。2007年9月のことだ。そして5年後の2012年9月、安倍氏は自民党総裁選に立候補し、当選。総裁選の記者会見で「(前回の)辞任後に発売された特効薬によって持病はほぼ寛解した」と語っている。その3カ月後の12月、自民党が政権に復帰すると、安倍氏は再び首相になった。

 安倍氏の持病は「潰瘍性大腸炎」。厚生労働省に指定されている難病である。腹痛、軟血便、下痢、発熱に食欲不振などといった症状があり、患者数は約12万人。10〜30代という若い時期に発症する傾向、再発の繰り返しやすさ、食事制限が不要なこと、適切な治療により日常をすごせる――といった特徴がある。17歳で発症し、再発により首相を辞任するも政治家としての日常を取り戻した安倍氏も、この例に漏れない。

 治療には、アサコールなどのアミノサリチル酸(S−ASA)製剤を服用したり、腸局所投与(浣腸剤)する方法がとられる。症状が重くなると、短期集中的にステロイドを服用。さらには大腸の切除という外科治療を選択する場合もある。

 安倍氏が会見で「特効薬」としたのはアサコールのこと。日本では2009年に発売が開始されている。安倍氏が首相を辞任したのは2007年だから、まさにこの薬が発売された恩恵を受けたということになる。

超音波を利用した新たな治療法の可能性

 10月21日、科学誌「Science Translational Medicine」にとある記事が掲載された。それは、潰瘍性大腸炎の患者たちに朗報といえるかも知れない報告であった。

 同誌によると、超音波を利用することで消化器系に迅速に薬剤を送達できる可能性があることが、新たな動物研究で示唆された。この新しい薬物送達の方法によって、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患(IBD)を抱える患者に便益をもたらす可能性があるという。

 この超音波による薬物送達強化の手法は、まずブタの消化管を用いて試験された。その結果、(巨大蛋白である)インスリン、さらに大腸炎の治療によく用いられる(比較的分子量の小さい)メサラミンのいずれも、吸収量が有意に向上したそうだ。

 追跡試験は次の通り。マウスにメサラミンを投与した後に1秒間、超音波処理を行う治療を2週間続けた結果、大腸炎の症状が軽減した。超音波を用いずに薬剤を投与した場合、改善は認められなかった。さらに、超音波を用いたインスリン送達により、ブタの血糖値が降下することもわかった。

薬剤の吸収を早める効果が期待できる

「新型うつ」はどう治す?~心理的な背景にある〈偏り〉の改善がカギに
インタビュー「職場でのうつ病の再発を防ぐ」秋山剛医師(NTT東日本関東病院精神神経科部長)第2回

うつ病の仲間とともに再発を防ぐためのプログラム「うつ病のリワーク」が注目を集めている。今回は、いわゆる「新型うつ」について、 NTT東日本関東病院精神神経科部長・秋山剛医師に話を聞いた。

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年…

里中高志

シカゴ大学医学部内科・外科教授兼個別化医療センタ…

中村祐輔

タイ式ヨガ「ルーシーダットン」マスターコース認定…

五十嵐あゆ子