日本人は性に奔放?『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』の宋美玄医師と考える"健全なセックス"

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ひとりよがりのセックスは不健全 Wisky/PIXTA(ピクスタ)

 ベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)で、医学的見地に基づく男女の双方にとって望ましいセックスの形を解説した産婦人科医の宋美玄(そん・みひょん)氏。

 現在、産婦人科クリニック「広尾レディース」(東京都渋谷区)で診療やカウンセリングを行っている宋医師。そこには、セックスに関する悩みを持つ女性や夫婦が大勢訪れる。現代のセックスの問題について、宋医師に聞いた。

 Q:「いまの若者はセックスをしない」「草食系」という話題を耳にするが、医療現場の実感はどうか?

 A:確かに若者の「性衝動」自体が減っている。さまざまなデータを見ても「平均初婚年齢」は上がり、高校生の「性交渉率」は下がっている。

 原因には諸説あるが、そのひとつは、「性のコンテンツが簡単に手に入る」ことが挙げられる。また、コミュニケーションの希薄化によって、生身の触れ合いが苦手になっている。

 昔なら男女の交際では、相手の自宅に電話をかけなければならなかったが、今なら喧嘩しても「LINEスタンプを送って終わり」と味気ない。

 Q:セックスの希薄化を伺わせるような相談は寄せられるのか?

 A:「結婚したけどセックスができない」という相談は多い。30~40代以上の中年の方に多いといえる。30歳を過ぎて結婚したが、「お互いに経験が少なくてうまくできない」とか。

 男性が若ければ「やりたい」という一心で強行できる面がある。だが、30歳を過ぎれば、相手がちょっと痛がると「やめておこう」と頓挫するケースがある。女性の初体験は、痛いに決まっている!

 Q:性交ができないという相談がある一方で、不特定多数とセックスして、妊娠や性感染症のリスクで相談に訪れる女性はどうか?

 A:産婦人科という性質上、望まぬ妊娠や病気を抱えている人は少なくない。話を聞いてみると、生まれ育った家庭になんらかの問題があるケースが多く見受けられる。

 "家族"が機能していなかったり、異常に厳しく躾ける親だったり。居心地の悪さや生きづらさが、性の問題を併発することがある。思春期以降は、リストカットや拒食症などとなって現れることが多いが......。

 自分の心の穴を埋めたくて、近づいてくる男性に対して「この人だったら私のことを分かってくれるのでは」という希望を持って気軽に肉体関係を結ぶ。しかし、長続きせずにすぐに別の男性に移ったり、関係の悪化からリストカットに至るケースは珍しくない。

 生きづらさを抱えた人の自傷行為として「セックス依存」という女性が、時々見受けられる。

 だが、「世の男女はこんなにセックスをしていないのか」という気分になるほど、カウンセリング外来にはそんな悩みを持つ人が多い。

正しい男女の形態はどうあるべき?

 Q:セックス依存や反社会的な性衝動はどう考えるべきか?

 A:「他人に迷惑をかけていないか」が分かれ目。セックスには、基本的に双方の合意さえあればタブーはない。家庭が崩壊したり、性被害を生む行為は論外だが。日本は性風俗産業が発達しており、それが性衝動の大きな受け皿になっている気はする。

 Q:ヒトにとって「性欲」とは何なのか?

 A:基本的にはテストステロンというホルモンの働き。動物はホルモンが分泌されたらセックスをし、ほとんど確実に妊娠する。ヒトは、排卵日にセックスしても妊娠する確率は約3割。ヒトはセックスと妊娠がイコールでなく、発情期が限定されてもいない。

 それが「家族」の形態を作る始まりなのかもしれない。そもそも、1対1で夫婦がセックスするという形態でさえ、正しいのか分からない。

 江戸時代には、「夜ばい」でできた子どもは村全体で育てたり、お祭りのときの乱交やお妾の文化があった。いまでも一夫多妻の国はいっぱいある。

 Q:「健全なセックス」とは?

 A:「代替としてのセックス」は、本来のあるべき姿ではない。相手の意志を無視したひとりよがりのセックスは不健全。双方が快感を得られるのがセックスの大切な基本だといえる。

 「性」と「生」はまさに不可分。「性」を見つめ直すことは、「生」の再見のためにも必要なのだ。

宗美玄(そん・みひょん)
1976年兵庫県生まれ。産婦人科専門医。大阪大学医学部を卒業し、産婦人科医に。首都圏のクリニックで産婦人科診療やカウンセリングを行なう。女性の身体や性生活、妊娠・出産などについての啓蒙活動にも積極的に取り組み、TVや雑誌などで活躍中。著書に『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)などがある。

(文=里中高志)

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