電子母子手帳Babys!には、ほかにも便利な機能がある。妊娠中の気になる症状や赤ちゃんの発育上の疑問などをメールで相談すると、医師、助産師、保健師、看護師、保育士などがアドバイスを返信してくれるというものだ。いざという時に相談できる専門家がいるのはたいへん心強い。さらに、いつどんな症状でどこを受診し、どんな薬を飲んだかを記録できる「お医者さんノート」の機能もある。予防接種記録や受診記録は、10代、20代と成長してからも必要になる情報だ。
「紙の母子手帳は小学校入学前までしか記録できず、あとは記録した内容を確認するのに使われるだけです。しかし、電子母子手帳なら、その後も記録を継続できます。PHR(Personal Health Record=個人の健康記録)として一生の役に立つものになります」
母親にとってわが子の成長記録は、どんな名作にも代え難い「世界にたった一つの物語」といえる。妊娠がわかった時の驚き、生まれた時の感動、初めて笑った時の喜び、熱を出した時の不安……。そんな大切な記録を決してなくすことなく保存しておける。そして、思いついた時にいつでも書き込める便利さ。現在パソコンやスマホ、ガラケーから利用できるが、より便利に見やすくするために、クラウドファンディングで支援を募りつつ、新たにスマホ版を開発中だ。<https://www.makuake.com/project/babys.fan/>
現在、電子母子手帳は、スキルアップの「Babys!」ほかにも、さまざまな企業・団体が開発・提供を進めている。しかし、記録内容やデータ形式が統一されていないため、医療機関との連携や地方自治体による導入も遅れている。個人情報の漏洩防止や医療機関との連携などクリアしなければならない問題は多い。このような問題を解決すべく、日本産婦人科医会では委員会を設け、電子母子健康手帳標準化を進めていく方針だ。
(文=編集部)