運動をしていないのに体重が落ちてきた場合、「痩せた!」と手離しに喜んではいけません。運動をしていないのに体重が増えてきた場合は、「筋肉率の低下+体脂肪率の増加」で起きる「サルコペニア肥満」状態。このタイプは、前述のように代謝が低下しており、通常の肥満よりも悪循環に陥ります。近年問題とされており、早い人は40代でサルコペニア肥満になります。
運動をしないかぎり、筋肉量を増やす、あるいは維持できません。つらい食事制限をして体重を落としても、筋肉量が少なければ脂肪を蓄積しやすいことに変わりありません。放っておけば、加齢とともに筋量が減ってエスカレートします。
私は、病気を防ぐQOLの維持向上は、「筋トレ」が基本だと考えています。食事制限や有酸素運動を行っても、筋肉量が少なくては、ダイエット成功も遠のきます。
エアロバイクより筋トレを優先すべき
では、筋肉が増加すると、基礎代謝はどのくらい変わるのか? 筋肉1kgあたり基礎代謝は13㎉/日。「えっ、これだけ?」「筋トレなんて無意味」「ジョギングやエアロバイクの方がいいのでは?」と思いがちですね。
ところがこれは、筋肉の量的な変化による基礎代謝の増加のみの話。ある研究によると、3~4カ月の筋トレで除脂肪体重が2Kg程度増加し、100㎉/日くらいの基礎代謝が増えたといいます。
これだけの違いが生じる要因のひとつは、筋トレによる安静時の筋血流量の増加が挙げられます。また、筋トレが、心臓や消化器など内臓の働きも活発化させたと考えられます。これらの総合的な変化が、代謝率の向上つながるわけです。
そして、日常生活における仕事や家事などでの活動代謝も見込めます。筋肉を仮に1kg増やせば、1日あたり50㎉、1週間で350㎉の基礎代謝が増えます。これは65kgの40歳男性がエアロバイクを約3時間漕いだ消費量に相当します。長い目で見れば、エアロバイクより筋トレを優先させるべきでしょう。
「サルコペニア」は誰にでも起こり得るもの。年齢を重ね、筋肉が減ってしまってから取り戻そうとしても容易ではありません。今からコツコツ「貯筋」する習慣をもつことをオススメします。