サッカーで求められるスピード持久力が脂肪燃焼に MakiEni/PIXTA(ピクスタ)
サッカーの「FIFA女子ワールドカップ2015」の決勝トーナメント、なでしこジャパンは期待に応えてベスト8に勝ち進みました。予選リーグを首位で通過したものの、メディアは「得点力不足」と批評。とはいえ、前大会のチャンピオンとして2連覇の重圧のなか、結果を残しているのは並々ならぬ努力の賜物です。
なでしこジャパンの強みは、細かなパスワークと豊富な運動量、そしてスタミナ。「まずは守備から」という佐々木監督のプランに従い、よく走ります。外国選手に劣る体格やパワー、スピードを運動量で補っているのです。トーナメント1回戦で強敵オランダにスペースを与えずブロックできたのは、攻撃後に全選手が自陣に戻っていたからでしょう。
サッカーで繰り返す「スプリント」には間欠的な運動能力が必要
さて、サッカーで必要な運動量、スタミナは、長距離走のような持久力とは少し違います。持久力には、有酸素能力とスピード持久力(間欠的運動能力)があります。
サッカーでは1試合に10km以上走るため、有酸素能力が重要です。さらにその動きを分析すると、10~30mの短距離を全力で走る「スプリント」が多く、より強度の運動を繰り返す「スピード持久力」がパフォーマンスに影響します。
サッカーの競技特性は、試合中にボールに触れている時間がとても短いこと。その時間は1試合(90分)で僅か2分程度。ですが、試合の勝敗を大きく左右するのはボールに触れていない時間です。
試合中は攻守いずれも、スプリントを繰り返すため、間欠的な運動能力が問われます。身体が疲労しきってしまったら、貴重なボールタッチの精度を下げてしまうからです。なでしこジャパンは、パスワークもさることながら、このスピード持久力の高さが世界トップクラスの実力を支えているのです。
インターバルトレーニングなら短時間で脂肪燃焼
スプリントの反復は、強度の高い運動と休息を交互に繰り返す運動様式「インターバル」とも呼びます。このインターバルトレーニングは、一般の人の身体づくりにも有効です。
運動で体脂肪を燃やすには、ウオーキングやサイクリングなどの有酸素運動を30分以上続ける必要があると聞いたことはありませんか。負荷の軽い運動の場合、長時間続けないと脂肪燃焼効果がアップしません。
ところが、このインターバルトレーニングは、スピード持久力や心肺機能の向上のほか、メタボ体型の解消に有効な脂肪燃焼効果もあるのです。インターバルトレーニングのように高負荷のエクササイズは、休憩中(軽い運動中)やトレーニング終了後でもカロリー消費が継続されるため、トータルのカロリー消費量は高くなることが、研究で確認されています。
また、インターバルトレーニングのよさは、時間が短縮できること。15分間のインターバルトレーニングで、ジョギング1時間と同程度の効果が得られるというのです。時間のないビジネスパーソンでも行えるのではないでしょうか。
たとえば、走るのが好きな方は、1分間スピードを上げて走り、1分間ゆっくりジョギングをする。これをはじめは6セット、合計12分間行う。前後のウォーミングアップとクールダウンを含めても15分程度で終了します。これが週2回こなせたら、翌週から1週ごとに1セットずつ増やしていきます。
フィットネスクラブに通う人ならば、設置された有酸素マシンでインターバルトレーニングを試してみてもよいでしょう。最近のバイクやステアクライマーなどのマシンには、一定の時間のサイクルで負荷の高低を設定できる、インターバルトレーニング機能がついています。
高強度のインターバルトレーニングは、最大心拍数の90%まであげた高負荷の運動を20~30秒、10~15秒休息するというのが一般的ですが、これはかなりきついはず。心臓への負担が高いので、年配者や持病のある方、体力のない方にはおすすめできません。しかし、運動習慣や体力に合わせて強度や時間を調節することで、脂肪燃焼の効果とともに筋肉強化や心肺機能の向上が図れる"最強のエクササイズ"になります。