「オレキシン」という脳内物質も、やる気と密接にかかわっている。睡眠障害の「ナルコレプシー」は、急に激しい眠気が起きる病気だが、これはオレキシンの欠乏が原因の一つといわれている。つまりオレキシンは、脳の覚醒を保つ役割を果たしているのだ。
オレキシンは"空腹時に増える"という特徴を持っている。増えれば増えるほど脳が覚醒するため、空腹時のほうが意識が冴えているというわけだ。食後に眠気が襲ってくるのは、オレキシンが一時的に減ったために起きるといわれる。
また、オレキシンは覚醒だけでなくモチベーションにも関与し、注意力を上げ、交換神経を活発化させる。いわゆる"野獣が獲物を狙う"ようなハングリーな状態が作られるのだ。
よって、オレキシンを増やすために、わざと「空腹状態になる」というモチベーションアップの方法が考えられる。もちろん、極端な食事制限は健康に良くないので推奨できないが、緊張を要する会議やプレゼンの前にモチベーションを上げたいのであれば、空腹で臨んだほうがいいのかもしれない。
やる気が失われているときは、チロシンを含む食材を摂るか、空腹状態を作ってオレキシンを高める。ぜひ試していただきたい。
(文=編集部)