脳を「やり残し」ストレスから解放!? 仕事もプライベートも効率アップする「GTD」のメソッド

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GTDメソッドがストレスなく生産性を発揮する!?』

 カラダは疲れているものの、なかなか寝付けずに「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」という焦燥感や、「やり残した感」にさいなまれている人はいないだろうか。そんな生き方を解放するためのひとつとして「GTDライフ」を紹介したい。


2つ平行した作業は85%の効率を奪う

 スタンフォード大学のクリフォード・ナス教授らは、人間の脳は、いくつもの作業を同時に進行させると、作業効率が著しく落ちるという研究結果を発表している。また別の研究によると、2つの作業を同時に行う)のは、1つの作業をするのに比べて効率が半分になるのではなく、85%程度の効率を落としてしまうことになるとのこと。このような「マルチタスク」(複数の作業を同時にこなすこと)は、結局ストレスとなって私たちのなかに蓄積していく。

 だが、「複数のことをパラレルにやらなければいけない」のは、ビジネスパーソンにとってごく当たり前。案件をいくつも抱えていることも日常的だし、1つの問題が解決しないうちにまた別の問題が浮上するのも稀ではない。「とにかく立ち向かうだけ」と腹を決めるのもいいが、複合的に襲ってくるストレスから解放されるための方法論がある。それが「GTD(Get Things Done:物事を成し遂げる)」だ。

 GTDはコンサルタントのデビッド・アレン(David Allen)が著書『仕事を成し遂げる技術 ―ストレスなく生産性を発揮する方法』で提唱している、個人のためのワークフロー技術である。特にIT業界では、メジャーな手法の一つだ。「ワークフロー」というととっつきにくいが、要するに「日々の雑多な仕事をどうこなしていくべきか」の方法論だ。

 私たちは毎日、公私問わずさまざまなレベルの「仕事」に追われている。とはいえ、体はひとつしかない。日々刻々と新しい別のタスク(課題)も加わるため、常に「どれもこれも中途半端」な気がしてしまい、罪悪感めいたものからストレスが生じる。

脳を「覚えておかなければいけない重圧」から解放する

 それを解決するGTDには、さまざまな方法がある。その一例を簡単に紹介しよう。

 まずは「やるべきことをすべて書き出す」ところから始める。公私の別も、仕事の大小も区別なく、すべてを「アウトプット」するのだ。このアウトプットが非常に重要だ。

 書き出すことで、脳が「覚えておかなければいけない重圧」から解放される。誰にお礼のメールを出す、書類の作成、ホテルの予約、郷里の空地の固定資産税について兄弟と話す、牛乳と納豆を買って帰る......まで、すべてのやるべきことを「見える化」する。

 そして、すべてのタスクを「今すぐやる」「返事待ち」「次のアクション」「いつかやる」に分類。「すぐ」「待ち」「次」などと、しるしを付けておくだけでもいい。あなたは、自分が思っているより仕事を抱え込んでいることに気がつくだろう。一方で、「脳からタスクが一度出て行った」ことで、ちょっとした最初の解放感を味わうだろう。

 リストの書き出しにはコツがある。
 
 たとえば、「公認会計士の勉強をする」という壮大なタスクは、「資料を取り寄せる」「受験日を調べる」「参考書を買う」「○時~○時に勉強する」というように細かく分けることで、やるべき項目の優先順位や準備内容などを整理できる。このように、大きなタスクは、細分化するか、順序だてて分ける。それをひたすら消していけば、少なくとも一歩ずつ、タスク終了に進んでいき、それを実感できる。

 書き出しと分類が済んだら、あとはひたすらリストを「処理済み」にしていくだけだ。電車待ちで移動する数分の時間でも、リストにパッと目を通し、今できることをこなしていこう。数分あれば「○○さんにお礼のメール」や「友達に飲み会の連絡をする」も「○円切手を買う」もできそうだ。「すぐ」は2分前後でできるのが分類の際のポイントだ。そのタスクが済んだら、線を引いて消す。スマホなら、チェックマークをつける。

「消す」達成感、やるべきことを「やった」安心感

 こうしていくと、毎日ものすごい量のタスクを「消し込む(=処理済みにする)」ことができる。「今日もこんなにいろいろなことをこなせた」という達成感が生まれる。また、タスクにはそれぞれ、多少の余裕をもった締切日を設定することで、「やるべきことはやった」という安心感を持って床に就くことができる。

 ずっと心に引っかかっていること、「TOEICで○点を取る」「外壁をペンキで塗り直す」というような目標は、あえて"いつかやる"に送り込む。そうすることで、「今はやらないけど大丈夫、忘れない」という安心感を得て、心をその呪縛から解放する。

 ストレスは、「私たち自身の感じ方」から生まれているもの。大小さまざまなタスクを、脳内にゴチャゴチャに詰めこんで、自ら複雑に分かりづらくしているのだ。それをGTDの手法で、シンプルに整列させることに効果がある。

 終えたタスクにピッと横線を引き、「消す」のは快感だ。目に見えない"足かせ"となっている焦燥感や不安から解き放たれるGTDライフ、ぜひ実践していただきたい。
(文=編集部)

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