デルフト工科大学の大学院生が開発した救命ドローン「Ambulance Drone」(公式YouTubeより)
119番通報を受けた救急車が、現場に到着するまでに平均8分30秒もかかっている。AED(自動体外式除細動器)は、心停止した人の胸に貼ったパッドから自動的に心臓の状態をキャッチし、心室細動や無脈性心室頻拍の不整脈を判断して、電気ショック(除細動)を心臓に与えて、心停止した人を蘇生させる。
AEDを搭載したドローンなら、救急車より速く現場に出動できるはずだ。心停止の人の救命率を高めるに違いない。そんな救急医療や遠隔医療の未来をガラッと変えそうな医療用ドローンがついに登場した。その名も、AED搭載の救急救命ドローン、Ambulance Drone(アンビュランス・ドローン)。文字通り「空飛ぶ救急車」だ。
AED搭載のアンビュランス・ドローンを救急医療の現場で活用することを発案したのは、オランダの名門、デルフト工科大学の大学院生アレック•モモント氏。モモント氏は修士号プロジェクトで、AEDとカメラ、マイク、スピーカーを完備した救急救命ドローンの試作品を製作し、実験を重ねた。
モモント氏によると、アンビュランス・ドローンは12km平米の範囲内なら搬送時間を平均10分から1分以内に短縮できるため、心停止後の救命率は8%から80%に高まるという。
今まさに、心停止を起こして倒れている人を発見したとしよう。119番に救急通報すると、現場に一番近いアンビュランス・ドローンが出動。最長12kmの距離を飛行できるので、通報後およそ1分で現場に到着する。
通報者は、到着したアンビュランス・ドローンを救護者の元に運ぶ。アンビュランス・ドローンは、カメラ、GPS(全地球測位システム)、AEDを搭載している。通報者は、カメラ映像を見ながら、医師の適切なアドバイスを受ける。医師の音声指示に従って、AEDのパッドを救護者に装着。装着が完了すると、通常のAEDと同じように、電気ショック(除細動)が自動的に流れて応急処置を完了する。ざっとこんな手際のよさだ。