「AED」の「心肺蘇生」はできて当然? 約2割の医師が「使えない・自信がない」と回答

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あなたは、使い方をわかってますか?

 駅やホテル、公園、学校など、さまざまな場所でよく目にするようになったAED(自動体外式除細動器)。コンピューターによって心臓のリズムを調べて、必要に応じて電気ショック(除細動)を与えることで、心臓の働きを戻すための医療機器だ。かつては、医師だけにしか使用が認められていなかったが、2003年からは救急救命士に、2004年7月からは一般市民にも、その使用が認められるようになり、これまで助からなかった多くの命が救えるようになった。

 厚生労働科学研究(「AEDの普及状況に係る研究」研究分担者:丸川征四郎)によると、平成24年12月現在、日本国内でのAED販売累計台数は44万7818台。その内訳は、医療機関が8万3417台、消防機関が1万2314台で、公共施設など一般市民が使用できるAEDは35万2087台にもなるとのこと。日本救急医療財団はネット上に、日本全国のどこにAEDが設置されているのかを検索できるサービスも提供している(http://www.qqzaidan.jp/AED/aed.htm)。さらに、最近は大手ネットショップでも販売されており、公共施設だけでなくAEDを常備する一般家庭も増えているようだ。

 ここまで普及が進むと「誰かが心肺停止状態になったら、その近くにいる人がAEDを使うのが当然」という社会的コンセンサスが浸透してくる。事実、今年6月には、大阪の私立大学のサッカー部員が練習中に倒れ、その後死亡したのは、AEDによる蘇生処置が行われなかったためだとして、部員の両親が大学側を相手取り、約7800万円の賠償を求める裁判が起こされている。「自分は関係ない」「AEDは使えない」では済まされない社会が来ているのだ。

 しかし、ここに驚くべきアンケート結果がある。AED導入10年という節目に組織された「減らせ突然死プロジェクト実行委員会」が医師を対象に行った調査(2107人が回答)によると、病院外で心停止を10秒以内に判断「できる」と回答した医師は全体の61.3%だったのに対して、「自信がない」と回答した医師は36.1%。さらに、実際にAEDを利用する局面に出くわしたら、約2割の医師が「自信がない」「できない」と回答したというのだ。救命救急の基本中の基本でありながら、そのプロフェッショナルである医師でも、実態はこうなのだ。

●頭の片隅に置いておきたい「AED」の使い方

 確かに医師であっても、救命救急を担当していない限りAEDを使う機会は少ない。ましてや、病院以外の場所で、突然、心停止の人に出くわしたら......。実際にAEDを使ったことがなければ、躊躇してしまうのもうなずける。

 応急手当の基本は、119番通報とAEDの要請、胸骨圧迫(心臓マッサージ)、電気ショックの3つ。ここでは、AEDの使い方について簡単に説明しておこう。

(1)電源を入れる
 AEDを傷病者の頭の横に置き、ケースから本体を取り出して電源を入れると音声の指示が始まる(ケースのふたを開けると自動的に電源が入る機種もある)。以降は音声メッセージに従って操作していけば大丈夫。

(2)電極パッドを貼る
 傷病者の衣服を取り除き、右胸の上部(鎖骨の下で胸骨の右)と左胸の下部(わきの下5〜8センチメートル)に電極パッドを貼る。

(3)心電図の自動解析
 電極パッドを貼り付けると「体に触れないでください」などと音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まる。

(4)電気ショック
 電気ショックが必要な場合は「電気ショックが必要です」と音声が流れ、充電が始まりまる。充電が終わり、「ショックボタンを押してください」の音声や充電終了の連続音が流れ、ショックボタンが点滅したら、傷病者に誰も触れていないことを確認してから、ショックボタンを押す。

 日本赤十字社が一次救命処置のやり方について、動画サイト(https://www.youtube.com/watch?v=qYea586_U9s)で詳しく解説しているので、こちらもぜひ見てほしい。【ビジネスジャーナル初出】(2014年7月)
(文=チーム・ヘルスプレス)

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