一方、さらに厳しい"喫煙規制を支持する"、新たなエビデンスが報告された。
非喫煙者が副流煙にさらされると、脳卒中のリスクが約30%高まる可能性がある――。『American Journal of Preventive Medicine』(オンライン版6月23日)に掲載された米サウスカロライナ医科大学(チャールストン)のAngela Malek氏らによる研究だ。
今回の研究では、米国人成人約2万2000人(45歳以上の白人または黒人)のデータを分析。対象者の約23%が、前年に副流煙に曝露されたと申告した。
2003年4月~2012年3月、脳卒中428件(虚血性脳卒中352件、出血性脳卒中50件、サブタイプ不明の脳卒中26件)が発生した。糖尿病、高血圧、心疾患など、ほかの脳卒中リスク因子を調整した後、副流煙への曝露は非喫煙者の脳卒中リスクの約30%上昇と関連していた。ただし、この研究でみられた関連性は因果関係を証明するものではない。
より厳しい"喫煙規制を支持する"新たなエビデンス
Malek氏は、「今回の結果は、副流煙に曝露された非喫煙者で脳卒中などの有害な事象にいたる可能性を示唆している。より厳しい"喫煙規制を支持する"新たなエビデンスだ」と指摘。さらに今後の研究で、「この関連性における心血管疾患の影響を調べ、脳卒中に関連する大気汚染物質などの他の環境因子への曝露についても調べる必要がある」と述べている。
米国では毎年、80万人近くが脳卒中を発生している。米国人の死亡の19件に1件は脳卒中が原因で、障害の主な原因になっており、見逃せない報告だ。
日本でも、先ほどの調査結果をまとめた、国立がん研究センターたばこ政策研究部によると、「受動喫煙をなくすだけで、肺がんや心臓病での死亡者を推計で年間6800人減らせる」という。五輪開催をきっかけに、国内のタバコ対策が進み、無用な疾患リスクを負う人が減ることを願うばかりだ。
(文=編集部)