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喫煙者包囲網が拡大! ディズニーでは全ての子ども向け映画で喫煙シーンを禁止

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ますます喫煙者には肩身の狭い社会に Dibasvolody/PIXTA(ピクスタ)

 最近、喫煙者にとってさらに肩身が狭くなりそうな報告・発表が相次いでいる――。

 3月12日(現地時間)、ウォルト・ディズニー・スタジオの会長兼CEOのボブ・アイガー氏は、「ディズニーをはじめ傘下する会社による子ども向け映画では、喫煙シーンを入れることを禁止する」と発表した。

 この発言は、サンフランシスコで行われたディズニーの年次株主総会での質疑応答で起きた。具体的な禁止内容は、エイブラハム・リンカーンのように喫煙家として知られている歴史上の人物に関するものでない限り、PG-13指定、もしくはそれ以下の指定がある映画全てが対象になるという。

 奇しくも、WHO(世界保健機関)は3月13日、世界全体の喫煙者数について、今後10年間はほとんど変化しないと予測する報告書を発表。報告書によると、WHO加盟諸国は2025年までに、世界全体の喫煙率を2010年の数値から30%削減させる自発的目標に合意した。ただし、現状で目標が達成できそうな国は半数以下だという。

 WHOの推計では、世界全体で毎年約600万人が喫煙に関連する原因によって死亡している。そのうち喫煙が直接の原因となっている死者は500万人超。残りは受動喫煙によるものだ。

 また、世界に約10億人いる喫煙者の約8割は、低所得国または中所得国で暮らす人々だと指摘。多くの国々で喫煙者は減少しているが、アフリカと地中海沿岸の諸国では増加していると示した。

喫煙が免疫力を低下、新たな疾患リスクも判明

 一方、米がん協会の疫学者Brican D. Carter氏らの研究グループよる大規模な追跡調査では、米国では喫煙によって引き起こされる21種類の疾患(12種類のがんを含む)が原因で、年間およそ54万人が亡くなっていることがわかった。

この報告は、約100万人の健康診断データを10年間(2000~2011年)追跡調査によって導き出されたものだ。これまで米厚生省医務総監の発表では48万人とされていたが、喫煙による健康への害はもっと大きいことがわかった。

 これまで、喫煙によって肺がんや動脈疾患、心臓発作、脳卒中、慢性的肺疾患が引き起こされることはわかっていた。今回の調査では、喫煙は免疫力を低下させるため感染症のリスクが高くことが新たに判明。また、糖尿病や高血圧、動脈疾患を引き起こし、これらの病気が腎臓疾患へと連鎖。動脈疾患による血流悪化は内蔵疾患の原因にもなる。また、これまで喫煙との関連性が指摘されていなかった心臓や肺の病気原因となることがわかったという。

喫煙妊婦は低体重児の出産が増える?

 日本でも3月17日、沖縄県で興味深い報告が行われた。喫煙している妊婦や痩せている妊婦は低体重児(2500g未満)を産むリスクが高い傾向にあることが、妊婦健診と乳幼児健診のデータ分析事業で示された。

 同県では全国よりも高い県内の低体重児出生率の要因を分析するため、2014年度から分析事業を実施。2012年度に妊娠届け出を提出した人が出産した子のうち、低体重児の割合は9.8%だったが、喫煙妊婦が出産した子では低体重児の割合は14%と約1.4倍に上った。出生児の平均体重でも、喫煙妊婦の出生児は非喫煙者・禁煙者と比較して80~100g程度体重が軽かったという。

 また、妊娠中に喫煙していた母親の子どもは1歳半健診時で運動機能、視聴覚、言語、対人関係性・精神発達の4項目で何らかの発達の遅れを招くリスクが1.24 ~2倍に上ることも報告された。一方、妊娠前の体格指数(BMI)が18.5未満と痩せている妊婦からも低体重児が生まれる割合が高いことも指摘された。

 分析結果を受けて県は2015年度、妊婦やその同居家族に対する禁煙支援と、痩せている妊婦への適度な体重増加に重点を置いた保健指導を5市町村で実施するという。

 かつて「健康長寿県」といわれた沖縄県だが、たばこを吸う人は年齢、性別問わず多い。喫煙によるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺がんの罹患率は全国平均より高い。食生活の乱れや運動不足がたたる肥満率は日本一。職場の健診で異常があった人の割合は2011年から3年連続で全国ワースト、今や「生活習慣病県」となっている。

 厚生労働省の国民健康・栄養調査結果(2013年)によると、習慣的に喫煙している人は19.3%。男女別では男性32.2%、女性8.2%。この10年間は減少傾向に推移している。「体に悪い」「やめたい」と思いながらも喫煙習慣が根強くて吸い続けている人には、強固な"包囲網"はありがたいことかもしれない。
(文=編集部)

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