連載第6回 快楽はどこまで許されるのか? セックス依存という病

田代まさしが仮釈放からわずか1年で盗撮! 犯行を繰り返す「窃視障害」という性依存症の闇

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ブログもツイッターも事件発覚後から更新が止まっているが......(公式ブログより)。

 またなのか──。そんな怒りともやりきれなさともつかない気持ちを抱いた人も多かっただろう。元タレントの田代まさしが、盗撮容疑で書類送検される見込みとなった。

 事件が起こったのは7月6日。東急電鉄二子玉川駅のホームで、携帯電話で女性のスカートの中を盗撮していたところを発見された。目撃者からの通報で警視庁玉川署の職員が駆けつけ、現場にいた田代は女性のスカートの中を盗撮したことを認めたという。被害者の女性は立ち去り、被害届は出ていないため、警視庁は田代から詳しく事情を聴くなどして、近く東京都迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで書類送検する方針だという。

 田代は、これまでに盗撮や覚せい剤の使用で3度有罪となり、計7年間、服役した。昨年7月に仮出所してからは、薬物依存施設「ダルク」のスタッフとなり、講演会やインタビューで薬物の恐ろしさを語っていたのだが──。

 更生を願っていたファンをふくめ多くの関係者を失望させた今回の事件。法務省も顔をつぶされた機関のひとつだろう。事件のわずか5日前、法務省が中心になっている「社会を明るくする運動中央推進委員会」が主催した「立ち直りフォーラム」で、田代が講演をしていたからだ。

「僕はまだ立ち直ってません。まだ薬物依存の立ち直り途上です」

 ネット上にアップされている7月1日の「立ち直りフォーラム」のチラシによると、同フォーラムは、犯罪や非行をした人の立ち直りを支えている地域の理解を深め、幅広い層の協力の輪を広げるとともに、全国で行なわれる社会を明るくする運動を盛り上げるためのイベントだという。だが、図らずも今回の書類送検で、盗撮や覚せい剤に対する依存症からの立ち直りが、いかに難しいかを示す結果となってしまった。

 盗撮行為は、性依存症の概念の中では「窃視」という概念で位置づけられる。

 性依存症の実態について解説した書籍『性依存症のリアル』(榎本稔編著・金剛出版)に収められている、御徒町榎本クリニックの精神保健福祉士・斉藤章佳氏の文章によると、常習の窃視症者の心理は、盗撮行為でしか得られない相手を支配する優越感を得ようとすることに特徴があるという。そのような窃視症者は、治療プログラムを受けるようになっても「盗撮はやめたが、生きがいを失ったようで苦しい」と感じるのだという。

 アルコールや薬物など、あらゆる種類の依存症は、対象物の摂取が常態になってしまい、それがないと激しい禁断症状を呈するばかりか、"より強い刺激"を求めてどんどん摂取量が増えていく。

 田代は先の「立ち直りフォーラム」の講演で、「僕はまだ立ち直ってません。まだ薬物依存の立ち直り途上です」と語っていたというが、盗撮行為に対する依存についても、依然として強烈な欲求を抱えていたのかもしれない。

寛解の定義には5年がかかる

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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