インタビュー 生活習慣病の発症は胎児期に決まる 第1回 早稲田大学理工学術院総合研究所・福岡秀興教授

日本の子どもたちが危ない! 胎児期の栄養状態で一生の健康が決まる

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―妊娠中、母親が栄養を摂らないと、産まれてくる子どもは低栄養でも生きていける体質になってしまう。そして、豊かな食生活の中で育つと、産まれ持った体質のとのギャップで生活習慣病になりやすくなる?
福岡:そうです。さらに別の事例としては、胎内の低栄養が生活習慣病のリスクを高めることを証明した「オランダの冬の飢餓事件」が挙げられます。第二次世界大戦末期の1944年冬、オランダ西部のある地域が、ナチス・ドイツによって占領され、その後、激しい寒波によって食糧の輸送が途絶え餓死者が約2万人も出ました。そのとき妊娠していた子どもから、メタボリック症候群、糖尿病、心筋梗塞などが多発しています。この調査は長期にわたって行われており、現在も継続中です。

 さらに、出生体重が小さくなると、虚血性心疾患、Ⅱ型糖尿病、高血圧、脳梗塞、脂質異常症、神経発達障害のリスクが高くなることが大掛かりな数多くの疫学研究によってもわかってきました。

 ただし、これらの調査は多数の人々を対象としたものであり、「小さく産まれた人がすべて病気になる」ということではない点はご理解ください。

―「小さく産んで、大きく育てる」という考え方は、必ずしも正しくはないということですか?
福岡:この言葉は、子どもが小さく産まれたときの、お母さんに対する慰めの言葉だったのでないかと想像されます。言葉が一人歩きして、これが正しいと思われるようになってきたのでしょうね。もちろん大きく産まれすぎた子ども(巨大児)も、小さく産まれた子どもと同様、生活習慣病の発症リスクはあります。

 小さく生まれた場合の典型例が、現在のインドです。地方の貧しい地域で低栄養の状態で産まれた人々が、その後、成長してから、経済的に急激に豊かになった都市部に移り住み、高カロリーの食生活をしている。その結果、インドの都市部では、糖尿病が急激に増えています。
逆に中国では巨大児が増えており、小児肥満や小児の糖尿病が増加しており、やはり大きな問題になっているのです。
(インタビュー&文=夏目かをる)


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