連載第3回 恐ろしい危険ドラッグ中毒

危険ドラッグの指定薬物は1400種類以上、新しい薬物の合成で際限ない"いたちごっこ"が続く

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 現在の危険ドラッグの主流は、合成カンナビノイド系化合物とカチノン系化合物。前者は乾燥植物片に麻薬と類似作用を有する化合物を添加したものであり、多くはハーブ、お香などと偽って販売されており、植物の燃焼によりガスが発生し、吸引することによって幻覚、幻聴、呼吸困難、動悸、嘔吐などの有害事象を引き起こす。先月もお香を装っって円錐形に加工された危険ドラッグの中国からの密輸が摘発されている。最近はこの化合物の毒性がより強まっている傾向にあり、麻薬を凌ぐものも認められる。更に一つの商品の中に多種類の化合物が添加され、より重篤な精神的、身体的悪影響を及ぼすことになっている。

 カチノン系化合物は覚醒剤と類似した作用を有し、患者を興奮状態に陥れて、強い依存性を伴う。頻回の安易な使用で歯止めがきかなくなって、健康被害、人格障害が顕著となる恐れがある。現在のところ、どちらの化合物にせよ救急搬送された患者の資料(血液や尿)より検出する試験紙などの簡易キットが存在しないため、医療現場で迅速に危険ドラッグ中毒と診断することはほぼ不可能である。

●危険ドラッグの判定キットの開発が急務

 したがって、医療機関では、①患者が所持していた危険ドラッグの確認、②患者自身の危険ドラッグ使用に関する告白に頼らざるを得ないのが現状である。確定診断を得るためには血液や尿を専門の施設に委ねて、ガスクロマトグラフィー/資料分析計(GC/MS)、液体クロマトグラフィー/資料分析計(LC/MS)を用いて分析する必要があり、結果が得られるまでにはかなりの時間を要する。

 また精神科医療施設で処方された向精神薬との併用例や大量のアルコール摂取とともに危険ドラッグを使用した症例では、危険ドラッグ中毒が見逃されやすい点も注意が必要だ。危険ドラッグを迅速かつ簡便に判定できるキットの開発が喫緊の課題だ。

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 2007年に31化合物1植物が指定薬物として規制の対象となり、その後8回の追加指定が行われて、2012年にはカンナビノイド系23種、カチノン系11種など77化合物1植物に拡大された。その後2013年にはそれまでの個別の化合物を指定する方式を改めて、カンナビノイド系化合物であるナフトイルインドールを基本骨格とする物質に対しての一括規制(包括指定)が行われた。

 またその後はフェニルアセチルインドール類、アミノアルキルインドール類などにも同様に適用された。現在では1400種類もの化合物が指定されたことになる。図にナフトイルインドール類の化学構造式を示すが、R1、R2、R3の部分を異なる物質に変換することによって、次々と多数の異なる新しい物質が作られているのが現状である。その他の化合物でも同様な現象が認められている。 

 危険ドラッグの販売、乱用、有害事象や事件の発生と危険ドラッグに対する法規制は「いたちごっこ」と称されている。新しい危険ドラッグが次々と合成されるために、取り締まりが追い付かない状態になっている。

 包括指定による規制物質の増加によって、2014年1~6月に危険ドラッグに絡んだ事件で摘発されたのは145人であったが、その後の3カ月では261人と急増した。1~9月の合計406人の内訳は危険ドラッグ所持、使用が135人、危険運転などの交通関係で摘発されたのが88人、更に販売業者の摘発が75人であった、法的規制効果が浸透しつつあるように思われるが、今後も新たな化合物が「開発」されて取り締まりが後手に回る可能性も十分予想される。

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