夏マスク騒動を振り返る。涼感、抗菌、通気性から秋冬マスクへ

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マスクにはウイルス侵入を防ぐ効果ほぼなし

 そもそも マスクはどれほど感染予防、つまり外からのウイルスからの防御の効果があるのかという面から考えると、それほど大きな効果は望めない。

 聖路加国際大学の大西一成准教授らは、布マスクは空気中のウイルスをどこまで防げるのかという検証を行っている。布マスクと顔面のすきまなどから出入りする空気中の粒子の漏れ率を調べることで、ウイルスの外部からの流入を予測したところ、布マスクとガーゼマスクは着け方が悪いと漏れ率が100%だった。

 フィルターの性能試験を通った不織布マスクで、すきまを最大限減らす着け方をした場合でも約50%の漏れとなった。つまり普通の布やガーゼマスクではウイルスを防ぐ効果はほぼないということだ。ただし、咳などで出る大きな飛沫が外に飛び出すことや、ウイルスがついた手で鼻や口を直接触るのを防ぐ意味はあるという。
(朝日新聞デジタル:https://digital.asahi.com/articles/ASN7430PVN72UBQU00B.html)

 マスクはつけなければいけないかといって熱中症が心配だ。このジレンマの中で夏マスクに求められたのは何よりも涼しいことや冷感だった。猛暑だから当然と言えば当然、あらゆる冷感素材が使われ一気に市場が広がり夏用マスクの主流となっていた。
『エアリズム、セブン-イレブン……冷感夏マスク、話題の5種類を比較レビュー! 猛暑を乗り切るのはコレだ』(https://www.cyzowoman.com/2020/08/post_298037_1.html)

 少しでも防御したいという意識からか抗菌という側面も注目された。例えば銅イオン、銀イオンなどを利用したもの、さらには冷感と抗菌を兼ね備えた商品も続々出てきた。

マスクの効果を見切って徹底的に通気性にこだわった商品

 さらに、思い切った戦力を取ったのが通気性という分野に踏み込んだ商品だ。なにせ通気性が良いのであればウイルスの防御も他人への伝播も防げるはずがない、そもそも「マスクいらないでしょう」と言われる可能性さえある。

 徹底的に通気性を前面に出したのが東京和晒株式会社(東京都葛飾区)の開発した「さらしマスク」。

 曰く「マスク装着の最大の目的は『飛沫防止』すなわち、会話や、くしゃみ、咳等の際に唾液などの飛沫が飛ばないようにすることであって、装着しているご本人へウイルス等の侵入を完全に防ぐものではありません。通常のマスクと最も違う点は『吐息を下方へ逃す』ので通気性が抜群であるという事です」と明言、独特のデザインの商品を発表した。

 一方、創業100年となる靴下専門メーカーのイイダ靴下㈱は、以前から生産していたストレッチニットマスクの動向を見て夏用マスクの生産を始めた。

「新型コロナの影響でストレッチニットマスクが急に売れ出し、通算で20万枚を販売しました。夏が近づき通気性の良いものをという声が多かったため、呼吸が楽に出来る2重構造ニットマスク「エアーメッシュ 夏用ニットマスク」を制作。表側はメッシュ素材、内側は襞状のパイル素材。メッシュ素材で息苦しさを抑え、飛沫防止効果をパイル素材で補うという考え方です。通気性の検証テストでは、一般的な不織布マスクと比べ、約7倍の空気を通していることがわかりました。付属のフィルターを重ねて使用しても、約4.5倍の空気を通せる」め、息苦しさが大幅に軽減され好評でした」(同社、佐竹裕介営業課長)。

 この夏用ニットマスクも10万枚を超える売り上げで、すでに秋冬に向けて綿やウールなどの素材を使った新商品の発売も予定しているという。

女性に圧倒的に評価された「マスク荒れ」対策

 マスクの長期使用で注目されたのが「マスク荒れ」だった。

 株式会社クロス・マーケティングが行った美容に関するインターネット調査(全国47都道府県に在住する20~69歳の男女1000人を対象、2020年8月19日~20日)でも、美容に関する不満が非常に多く、全体では「マスクで肌が荒れる」が1位。女性では「マスクで化粧が崩れる」がそれぞれ1位となっている。

 こうした不満が後押しとなり、銅イオンの抗菌効果に着目し、銅繊維を織り込んだ生地を利用し「カッパープロテクションマスクマ」(ビーシーエープロダクツ株式会社)では、購入者がほとんど女性だったという。もともと美容・理容商材に強い同社のマスクは、マスク荒れが起きにくいと評判に。井上公平取締役は「コロナの影響は長期化しそうです。女性にとって肌荒れは気になるところ、むしろこれからの時期の需要にも期待しています」

 さらにマスクにマスク荒れ防止の効果だけではなく、美肌効果も加味したマスクとして注目されているのが「リラクゼーション&美肌 マスク」(andファクトリー株式会社)。天然繊維に数種類の鉱石でできたミネラル混合体「プラウシオン」を配合した機能性繊維を利用しているため、マスク荒れが起きないだけでなく、血流改善・疲労回復・老化防止などで美容効果があるとされている。同様の繊維を使ったリラックスウエアは一般医療機器として登録されているようだ。

 夏マスクから秋マスク冬マスクへ。日本のマスク商戦から目が離せない。
(文=編集部)

★ピックアップしたマスク
「さらしマスク」
「エアーメッシュ 夏用ニットマスク」
「カッパープロテクションマスクマ」
「リラクゼーション&美肌 マスク」

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