感染予防はマスクでは不十分!
昨年末から1月にかけて、今年も多くの感染者を出しているインフルエンザ。
国立感染症研究所が発表している「インフルエンザ流行レベルマップ」によれば、年明け1週目に少し減少したものの、その後また増加し、いまだ多くの地域で流行の継続が疑われることを示している。最新の動向はインフルエンザ流行レベルマップで確認することができる。
こうしたインフルエンザなどの呼吸器感染症は、感染した人の咳やくしゃみによって、ウイルス・菌が撒き散らされ、これを吸い込んだり触ったりすることによって感染する。
この咳やくしゃみなどによる感染拡大を防ぐために厚生労働省が呼びかけ出したのが「咳エチケット」だ。
もともとはSARS(重症急性呼吸器症候群)が問題となった頃に、アメリカで提唱され始めたもの。近年では新型インフルエンザの世界的な流行が心配されていることから、日本でも積極的に呼びかけられるようになってきた。
もちろんインフルエンザだけでなく、百日咳やマイコプラズマ肺炎など、多くの呼吸器感染症の予防に役立つものだ。
ティッシュの後始末が意外に肝心!
厚生労働省が呼びかけている「咳エチケットの3カ条」は次のようなもの。
<咳エチケット 3カ条>
①咳・くしゃみの際にはティッシュなどで口と鼻を押さえ、周りの人から顔をそむける
②使用後のティッシュは、すぐにふた付きのごみ箱に捨てる
③症状のある人は、マスクを正しく着用し、感染防止に努める
この3カ条のうち、マスクをつけたり、人に直接唾液などが飛ばないように気をつけたり、といったことは、マナーとしてすでに多くの方が行っているだろう。
ひとつ咳やくしゃみをしたくらいで......と思われる方もいるかもしれないが、そのたった1回で、約10~20万個のウイルスが、時速約300kmという新幹線並みの猛スピードで、2~3メートル先まで飛沫すると言われているのだ。
そして意外にまだ無頓着な方を見かけるのが、鼻をかんだり痰を拭き取ったあとのティッシュの始末。
そもそも、なぜ咳が出るのかをおさらいしておくと、風邪などで炎症を起こした気道では粘液が多く分泌され、ウイルスや細菌をからめとっていき、こうしてたまった粘液=痰が気道を刺激して咳が出る。痰と一緒に病原体を体外に排出することができる仕組みが咳というわけだ。
しかし、こうして病原体を含んだ痰などが包まれた状態で捨てられたティッシュは、ごみ箱の中で乾燥してしまうと、そこからまたウイルスが拡散してしまうため、ビニール袋に入れてしっかり密閉する、ふた付きのごみ箱にすてるなど、細心の配慮が必要なのだ。
また「咳エチケット」はまわりの人にうつさないために感染者側が気をつけることだが、感染していない人にも気をつけて欲しいのが、電車のつり革や手すり、ドアノブ、カラオケのマイクなど。
こうしたウイルスや菌が付着しやすいものをさわった手で、自分の口・鼻・眼に触れたりすることで感染することもあるからだ。
うがいや手洗いなどで、小まめにウイルスや菌を洗い流すように気をつけたい。
(文=編集部)