脂肪吸引手術のリスクとは? 考え得るリスクと死亡原因

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
shiboukyuin1102.jpg

脂肪吸引で女性が死亡のわけ

 頬、脹脛(ふくらはぎ)、太腿、尻、腹についた皮下脂肪を取りたい!体型にコンプレックスを感じ、不満を募らせている人は、古今東西、老若男女を問わず夥しい。だが、脂肪吸引手術は死を招くリスクがあることも知られている。
 
 2017年12月に名古屋市中区の美容整形クリニックで脂肪吸引の手術を受けた20代の女性が自宅で死亡しているのが発見された。愛知県警は、手術方法、術後の処置と死亡の因果関係などを美容整形クリニックの執刀医らから聴取した(朝日新聞2017年12月24日)。
 
 報道によると、女性は手術を受けた当日の12月12日に帰宅。3日後の15日、家族が女性と連絡が取れないため、警察へ通報したところ、自宅で死亡していたという。女性に重い持病はなく、司法解剖で死因は特定できていない。愛知県警は、病理解剖を行い、死因の特定を進めている。施術した美容整形クリニックは、「患者に関しては何も答えられない」と回答している。
 
 脂肪吸引手術による死亡事故は過去にもある。
 
 2009年、品川美容外科池袋院(東京都豊島区)で脂肪吸引手術を受けた女性、前田京さん(70)が死亡。業務上過失致死罪で告訴された医師の堀内康啓被告(39)に、2012年8月に禁錮1年6月、執行猶予3年の有罪判決が確定した(日経新聞2012年8月20日)。
 
 判決によれば、堀内被告は2009年12月2日、腹部の脂肪吸引の手術時に、皮下脂肪に挿入したカニューレ(吸引管)の先端の位置を十分に確認しなかったことにより、腹壁や腸を損傷させ、前田さんは、2日後に脱水症によって死亡した。
 
 なぜ美容のための脂肪吸引手術が死亡事故を招いてしまうのか。

リドカインの毒性や薬物相互作用も原因か?

 まず、痩せたい部分の過剰な皮下脂肪を吸引する痩身法である脂肪吸引手術はどのような手術法なのか?

 一般的な脂肪吸引手術は、リドカイン(局所麻酔薬)を含んだ溶液を皮下に注入後に、微小なカニューレ(吸引管)を患部に挿入し、皮下脂肪を吸引する手技だ。

 医学誌『NEJM』(Vol. 340 No. 19 : 1471~75. 1999年5月13日Deaths Related to Liposuction R.B. RAO, S.F. ELY, AND R.S. HOFFMAN)では、リドカインの推奨用量は、体重当り 55mg / kgと高用量だが、安全性を証明するデータはほとんどなく、有害事象の報告も強制されていないため、合併症と死亡の発生率は明確でないと記載されている。
 
 また同研究では、1993~98年にニューヨーク市の主席医学検査官事務所(the Office of Chief Medical Examiner)に報告された48,527人の死亡者のうち、過剰脂肪吸引術後に死亡した人は5人で、その5人の医療記録と剖検の検査結果を再検討した。
 
 その結果、5人の患者は、10~40mg/kgの用量範囲のリドカインのほか、麻酔導入薬・鎮静薬のミダゾラムが投与されていたことが判明した。5人のうち3人は、手術中の急激な血圧低下と除脈によって死亡した。明確な死因は特定できていないというが、脂肪吸引術による死亡の原因の1つは、リドカインの毒性やリドカインに関連した薬物相互作用が関係しているだろうと結論付けている。
 
 先に述べた品川美容外科での例のように “手技のミス”による死亡例もあれば、“薬物相互作用”によって死亡することもあるようだ。

睡眠障害治療の新たな幕開け!個人に必要な睡眠の「量」と「質」を決める遺伝子を探せ
インタビュー「睡眠障害治療の最前線」後編:筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・佐藤誠教授

前編『『人間の「脳」は7時間程度の睡眠が必要! 本当のショートスリーパーは100人に1人程度!?』』

ひとくちに睡眠障害といっても、さまざまな症状がある。1990年代後半から脳内に眠気を誘う「睡眠物質」を探す研究にスポットライトが当たり、2018年からは睡眠の質と量を決める遺伝子の解析も進められている。今回は睡眠障害について、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の佐藤誠教授に話しを聞いた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆