メスを入れずに「二重あご」が解消できる新薬が誕生! 技術開発が進む美容整形の未来とは?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
kytheradoublechin.jpg メスを入れずに注射だけで二重あご解消!

shutterstock

 二重あごを解消できる新薬「カイベラ」が、アメリカの食品医薬品局(FDA)によって5月1日に承認された。開発したのはアメリカの製薬会社カイセラ・バイオファーマスーティカルズ社。約2600人を対象にした臨床試験の結果、効果があるというデータを得ることができたという。

 報道によれば、二重あごを「治療できる」ではなく、「解消できる」という表現になっている。二重あごとは、あごの下部に脂肪や皮膚のたるみがあること。二重あごそのものは、病気ではないし、病状でもない。事実、FDAは、この「カイベラ」を保険適用から除外した。適切な判断だと思う。

 カイベラのメカニズムは以下の通りだ――。

 あごの下にカイベラを注射すると、あごの下にある脂肪細胞の細胞膜が破壊される。破壊された細胞の残骸は、そのまま肉体に吸収されていく。外見上、傷が残ることはないとのこと。ただし、一度の注射では効果がない。治療効果が出るためには、50回の注射が必要とされる。

 デメリットについても公表されている。少数ではあるが、被験者の中には、顔面の筋力低下や顔の片側にゆがみが出る、といった事例があったという。

「カイベラ」が拓く美容整形の未来

 この「カイベラ」の効果は、プチ整形の理屈と似ている。プチ整形のひとつヒアルロン酸の注射をすると、顔面をふっくら見せて若返えらせるという効果が期待できる。この効果は短期間ではあるが、顔面にメスを入れないので、ローリスク・ローリターンだ。美容整形業界に大きな収益をもたらしたし、「美容整形に対する恐怖」というハードルを下げることにも大きく貢献した。

 今回認可された「カイベラ」は、二重あごで悩む人たちにとって朗報となるかもしれない。

 想像するに、二重あごで悩んでいる人は、身体全体が肥満状態にあるはずだ。腹部の脂肪吸引をするときの「おまけ」的なサービス商品としても提供可能だろう。効果が出るまで50回の注射通院が必要となるわけだから、医師は患者に対して50回も別のサービスを提供するチャンスが創出できる。つまり「カイベラ」は、リピート客の創出に貢献できるわけだ。ただし、たかが二重あごの治療のために50回も通院するという、時間の余裕のある人に限られる。ターゲットは富裕層であることは容易に想像できる。

 外見を治療する、外見を修正することは、人類にとって長年の夢。外見の修正を目的とした美容整形の歴史は複雑である。たとえば、ユダヤ人差別をさけるため、ユダヤ人の特徴とされる「かぎ鼻」を修正する外科手術がアメリカで普及したことから、美容整形の歴史を語る人がいる。あるいは、第一次世界大戦で、顔面に大きな傷を負った復員兵の社会復帰のために行われた手術を担当した外科医たちが、平和な時代の仕事として美容整形を始めたという説もある。

 コミュニケーションが重視される先進国において、外見で悩む人は増えることはあっても、減ることはないだろう。その悩みを解決するために、美容整形も形成外科も発展を遂げてきた。身体にメスを入れても手術痕がほとんど目立たないようにする技術開発、注射による外見変化の技術革新も進んでいる。

 あごの脂肪除去においても、「メス」と「注射」という複数の選択肢が用意された。選択するのは患者であり、外見で悩める人たちである。
(文=編集部)

部下や同僚が「うつ病」になったら? リワークのプログラムの提供施設は全国200以上に拡大
インタビュー「職場でのうつ病の再発を防ぐ」秋山剛医師(NTT東日本関東病院精神神経科部長)

第1回:「障害」が疑われる人の<うつ休職>
第2回:「新型うつ」はどう治す?
第3回:部下や同僚が「うつ病」になったら?
うつ病で休職中の社員が、毎日決まった時間に病院に通い、同じうつ病の仲間とともに再発を防ぐためのプログラムを受けることが「うつ病のリワーク」と呼ばれ注目を集めている。

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

こくらクリニック院長。1963年生まれ。1991…

渡辺信幸

新宿大腸クリニック院長。1988年、東京大学医学…

後藤利夫