男児出産の道端アンジェリカが「完全母乳で育てたい!」で議論沸騰! 母乳育児のメリットは何?

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母乳栄養(母乳育児)のメリットは何か?

 このようなデータを見る限り、母乳栄養(母乳育児)の明白な事実が浮上する――。

 母乳は、乳児の健康に最良の栄養源だ。米国小児科学会(AAP)をはじめ、多くの政府機関、国際機関、学会が母乳栄養(母乳育児)を推奨し、厚労省の「健やか親子21」も母乳栄養(母乳育児)の定着を目標に掲げている。では、母乳栄養(母乳育児)のメリットは何か?

 妊娠後半の6か月間にプロゲステロン、エストロゲン、卵胞刺激ホルモン (FSH)、黄体形成ホルモン (LH)、プロラクチン、オキシトシン、ヒト胎盤性ラクトゲン (HPL)など、乳腺の成長を促すホルモンが妊婦の乳房に分泌される。妊娠5~6か月頃になると、乳房は乳汁を生成し始め、出産間近に黄色を帯びた初乳(コロストルム、コロストラム)を分泌する。新生児が最初に飲む初乳は、母親由来の抗体を多く含むため、新生児の免疫系が発達するまで感染防御に役立つ。

 また初乳は、免疫力を高める作用が強い核酸類やタンパク質の含有量が高く、脂質と糖質が少ない。乳汁成分の成熟は、新生児が乳首を吸う刺激によって高まり、出産後3〜4日後に脂質と糖質が増加する。初乳が出た後は、乳汁は、新生児が母乳を欲しがる頻度と量によってコントロールされる。

 このような母乳の生理的機序が母乳栄養(母乳育児)の絶大なアドバンテージ(有用性)を生んでいるのだ。

 母乳栄養(母乳育児)の利点は、第1に新生児が母体から栄養素と抗体を得られること、第2に授乳が母子の心理的な絆を強めること、第3に母乳栄養(母乳育児)がビフィズス菌などの正常な腸内細菌叢(フローラ)を早期に形成するため、免疫力の強化と下痢の防止に役立つことに尽きるだろう。

 ほかにもある――。2007年の世界がん研究基金とアメリカがん研究協会の報告によれば、6か月以上の母乳栄養(母乳育児)は、新生児の肥満やがんの発症リスクを抑制するとしている。

 また、米国小児科学会や厚労省によれば、母乳栄養(母乳育児)は、非母乳よりも乳幼児突然死症候群 、糖尿病、消化器炎、気管支喘息、アレルギー、尿路感染症などの発症リスクが有意に低い。

 そして新生児は、いつでもどこでも体温にあたためられた母乳が飲め、乳首を吸うので、脳、歯、発音器官が発達するなど健康上の利点が多い。

 さらに付け加えれば、母乳栄養(母乳育児)は幸せホルモンのオキシトシンを増加させるため、気分を落ち着かせつつ子宮の回復を促し、出血を抑える。母乳を生成する脂肪が消費されるので、ダイエット効果もある。

 頻繁に授乳すれば、排卵や月経の再開が遅れるため妊娠しにくなり、鉄分の回復を早める。出産後の骨の再石灰化が進み、卵巣がん、乳がんの発症リスクが減少するなど母親の利点も少なくない。

辛い試練を乗り越えた母親ほど母乳栄養(母乳育児)のミラクルを実感

 いかがだろう。経膣分娩(自然分娩)で産まれ、母乳栄養(母乳育児)で育った新生児ほど、免疫力が強く、健やかに成長する生物的・生理的根拠がある。母子の絆もパートナーの愛情も深める母乳栄養(母乳育児)の奇跡。母乳栄養(母乳育児)は、人知を超えたミラクルなエナジーに満ち満ちているのだ。

 確かに母乳栄養(母乳育児)が困難な場合はありうる。新生児が乳房から母乳を飲めない、初期の不慣れで授乳できない、新生児が必要とするだけのカロリーを母乳で与えられない場合だ。出産時に子供と離され過ぎたり、乳腺のトラブルがあったり、多嚢胞性卵巣症候群 (PCOS)などの疾患が原因のケースもある。

 だが、不足分を他の母親の母乳や粉ミルクで補いながら、母乳哺育補助システム(SNS) と呼ぶ補助具を乳房に貼り、母乳の不足分を補う方法もある。

 このような辛い試練やつまづきを乗り越えた母親ほど、母乳栄養(母乳育児)のミラクルをひしひしと実感できるに違いない。
(文=編集部)

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