認知症は「50歳で血圧高め」が発症リスクが高い!
50歳の時点で「収縮期血圧(SBP)値が130mmHg以上」だった人は、血圧が低かった人と比べ、後に認知症を発症するリスクが高い可能性がある――そんな新たな研究が示された。
論文の筆頭著者で国立保健医学研究所(フランス)のJessica Abell氏は「正常高値血圧(SBP=130~139mmHg)であっても脳に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆している」とコメント。詳細は『European Heart Journal』(6月12日オンライン版)に掲載された。
各国の診療ガイドラインでは、従来、高血圧の定義はSBP/拡張期血圧(DBP)値「140/90mmHg以上」が採用されてきた。
しかし、正常高値血圧でも心筋梗塞や脳卒中、心不全、腎不全のリスクが2倍とする最新のエビデンスに基づき、2017年に米国心臓病学会(ACC)と米国心臓協会(AHA)は診断基準を「130/80mmHg」に引き下げている。
一方で、欧州高血圧学会(ESH)のガイドラインでは、診断基準は従来通り「140/90mmHg」に据え置かれている。
高血圧だと認知症リスクが1.38倍に
今回の研究では、参加した英国の公務員8639人(女性32.5%)を対象に、1985〜2003年の間に血圧を6年ごとに計4回測定。2017年まで認知症の発症を追跡して、血圧と認知症の発症との関連を調べた。今回は特に50歳、60歳および70歳時点の血圧に焦点を当てて解析したという。
その結果、社会人口学的な因子などさまざまな因子で調整した解析でも、「50歳時点でSBP値が130mmHg以上」だった人は、「130mmHg未満」だった人と比べて、その後に認知症を発症するリスクが1.38倍であることが判明。
一方で、60歳および70歳時点のSBP値とDBP値は、いずれの年齢でも認知症リスクと関連しないことも明らかになった。
さらに、平均年齢で「45歳と61歳の間にSBP値が130mmHg以上」だった期間が長いほど、認知症リスクは上昇することも示された。