シリーズ「本能で楽しむ医療ドラマ主義宣言!」 第22回

『ブラックペアン』最終回、すべての謎が解け二宮和也の涙は集大成

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良い医師は経験を重ねれば重ねるほど謙虚になる

 再開胸した父渡海一郎が冷静に佐伯教授と連絡を取り、その必要性を理解して必要な処置をした、だなんて、素晴らしくできる医師だと思いませんか?その時他の処置があったのかもしれないとも思いますが、信頼関係ができていた二人だったと言うことがわかりますね。

 佐伯教授が心停止をしたときの時間が妙に長く、あれ?人工心肺まわしてなかったっけ?なんていいながら見ておりました。大切なシーンだったので仕方がないのですが、もっと早く処置しないとまずいよね、と突っ込みながらも、ニノ~、早く来て~っと思っておりました。

 心マしながら、そして除細動器(DC)かけながら「戻ってこい!」というシーン、現実はもう少し冷静ではありますが、私の印象では医師は皆、言います。「もっどってこい~、もどってこい~っ」と念仏のように唱える印象があります。心臓が止まることは死に直結しますので、心肺蘇生している医師の気持ちは皆一緒です。

 医者は完ぺきではなく、驕ることなく、日々その腕を研鑽し、本当の医療とは何かを常に探し求める覚悟が必要と佐伯教授は語りました。

「何も言わずに医者は患者のことだけを考えろ」

 良い医師は経験を重ねれば重ねるほど謙虚になる気がします。医療の良さも怖さも身をもって体験し、医療や自分のできることの限界も理解してきます。

 私の周りにいる看取りをしている医師たちは、人は必ず死ぬんだよ、と冷静に言います。当たり前のことですが、普段はあまり考えないことではないでしょうか? 私も含め、健康に気づかいしっかり生きてはいますが、30代くらいからでしょうか、常に自分の死も意識している様ながします。科によっても違ってくるとは思いますが、人の死が比較的身近にある医師は、のんきには生きてはいかれないのかもしれません。

 最終回でついにゴールドのステト(聴診器)でました~!臨床でゴールドのステトを選んで使う医師は100人に1人くらいでしょうか(笑)?

『ブラックペアン』、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。コラムのお話をいただいてなんとなく見始めたブラックペアンでしたが、医者人生20数年を振り返る機会の多かった3カ月でした。私も普通の臨床医であるために、日々研鑽していきたいと思います。
(文=井上留美子)


二宮和也主演『ブラックペアン』第9話 ロボットの利点を使いこなす離れ技の画像2

井上留美子(いのうえ・るみこ)
松浦整形外科院長
東京生まれの東京育ち。医科大学卒業・研修後、整形外科学教室入局。長男出産をきっかけに父のクリニックの院長となる。自他共に認める医療ドラマフリーク。日本整形外科学会整形外科認定医、リハビリ認定医、リウマチ認定医、スポーツ認定医。
自分の健康法は笑うこと。現在、予防医学としてのヨガに着目し、ヨガインストラクターに整形外科理論などを教えている。シニアヨガプログラムも作成し、自身のクリニックと都内整形外科クリニックでヨガ教室を開いてい。現在は二人の子育てをしながら時間を見つけては医療ドラマウォッチャーに変身し、joynet(ジョイネット)などでも多彩なコラムを執筆する。

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