連載「死の真実が〈生〉を処方する」第45回

「てんかん」という病〜発作や症状のコントロールで運転も可能

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良好なコントロールで安全にクルマを運転

 わが国では、道路交通法の改正によって、てんかん患者も運転免許を取得できるようになりました。その結果、てんかん患者による自動車事故も散見されています。

 海外では、てんかん患者はほかの病気の人よりも交通事故を起こしやすいとされています。しかし、わが国では、そのようなデータはありません。

 日本てんかん学会が行った調査では、平成19年にてんかん発作による事故は176件発生していたそうです。中には、てんかんがうまくコントロールできていないのにもかかわらず、無申告で免許を取得、あるいは更新している例もあったようです。

 平成24年6月に警察庁が公表したところ、てんかんが原因となった交通事故のうち、運転者が病状を申告せずに免許を取得・更新した例が69%を占めていたそうです。

 したがって、規則正しく医療機関を受診し、良好なコントロールを保てば、安全に自動車を運転することができます。

 なお、てんかん発作を起こした人は、2年間は運転が禁止され、発作がないことや療養状況などの観察を受けてから運転の許可が考慮されます。ですから、てんかんと診断された人には、2年間、自動車の運転ができないことをはっきりと伝える必要があります。

もし、てんかん発作を目撃したら

 以上のとおり、突然、意識がおかしくなったり、しばらく特異な行動を取る人を見かけたら、医療機関の受診を勧めてください。てんかん発作による悲惨な事故を繰り返さないためにも――。

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一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。社会医学系指導医・専門医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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