がん免疫療法が常識を変える! 数年後に「がんで死なない時代」が到来する?

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免疫療法にも副作用はあるが「必要悪」

 現在、世界では800以上の、がん免疫療法の臨床試験が進行しているという。そのため角田氏は、がん免疫療法によって「10年以内にがん免疫療法を受けた人の50%以上が完治するようになります」と大胆に予測する。

 さらに「おそらく3~5年後には、適用されるがん種も増えているはずです。(中略)今、がんを抱えている患者さん一人ひとりに伝えたいのは『とにかくこの3年間、がん免疫療法以外の治療法で、何が何でも生き抜いてください』ということです」

 そして、「そうすることで、そのとき最善にして最高の、がん免疫療法を受けられるのですから」と熱い檄を飛ばす。

 従来の抗がん剤は、治療を止めると効果も次第に薄くなる。だが、免疫療法による免疫チェックポイント阻害剤は、投与を止めた後も効果が持続する。

 後者の場合は、がん細胞に「直接」ではなく、「免疫機能」に作用するからだ。いったん免疫力のスイッチが入れば、活性化し続けるのだという。

 では副作用の心配はないのか? 抗がん剤では、副作用のために途中で治療を断念してしまう患者は多い。

 一方、免疫チェックポイント阻害剤は「副作用が少ない」と言われているが、それはあくまでも「従来の抗がん剤と比較しての話」だという。「副作用がまったくない」わけではないことは、前著および本書でも言及されている。

 ただし「なぜ副作用が出現するのかを考えると、必ずしも副作用を全否定はできない」と角田氏は記す。

 「なぜなら、副作用は一種の必要悪とも考えられるからです。言ってみれば、効果がある治療には、ついてまわるものという考え方もできるのです」。つまり、強力な武器には必ずと言っていいほど、メリットとデメリットがある、ということだ。

 「副作用を必要以上に恐れるよりも、状況に応じて武器を効果的に賢く使って有利な闘いに持ち込むことを優先させるべきではないでしょうか」(同書より)

がんで死なない時代の幕開け

 がん免疫療法には、まだ未知の部分が多く残されている。解明されていない謎も多い。

 たとえば、なぜ薬剤が効く人と効かない人がいるのか、なぜ効く人は最初から効くことが多いのか、なぜ治療をやめても効果が続くのか……。さまざまな症例が集まりつつあるが、これらの「なぜ」がすべて科学的につまびらかにされたわけではない。

 「だからこそ私は、がん免疫療法に関わっているのでしょう。患者さんに負担の少ない、最適で最善の治療法を届けたい……。その思いを実現するためには、謎に立ち向かうしかないのです。私たち医療従事者は、患者さんのために常に新しい情報、知識をもっともっと収集していく必要があると思います」

 それが角田氏が本書を執筆した理由だ。

 昨今、がん免疫療法に関する情報が、さまざまなメディアに氾濫している。しかし、その内容は玉石混淆だ。

 先述のように、現在、世界各国で800以上の、がん免疫療法に関する臨床試験が進められている。この事実は、がん免疫療法が、この先ますます進化することを意味していると考えていいだろう。

 「私たちは今、がんで死なない時代の幕開けのところに立っています」――そう断言する角田氏。その力強い言葉に、がん治療の未来が見えてくる。
(文=編集部)

角田卓也(つのだ・たくや)
昭和大学臨床薬理研究所臨床免疫腫瘍学講座教授。和歌山県立医科大学卒業後、同病院で研修。1993年、腫瘍浸潤リンパ球の研究をテーマに医学博士号を取得。92~95年、米ロサンゼルス、シティオブホープがん研究所に留学。同講師就任。95年、和歌山県立医科大学第2外科助教就任。日本初の樹状細胞療法を実施。2000年、東京大学医科学研究所講師、05年、同准教授就任。10年、バイオベンチャー社長に就任。日本初の大規模がんワクチンの臨床試験を行う。2016年5月より現職。30年間一貫してがん免疫療法を研究する。著書に『進行がんは「免疫」で治す 世界が認めた がん治療』(幻冬舎)』

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