がん免疫療法が常識を変える! 数年後に「がんで死なない時代」が到来する?

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現在、世界では800以上の、がん免疫療法の臨床試験が進行しているという(depositphotos.com)

 「今、がんは、糖尿病や高血圧と同じ、単なる生活習慣病、慢性疾患となりつつあると言っていい」――。

 俄かには信じがたい話だが、昭和大学臨床免疫腫瘍学講座教授の角田卓也氏は、今年1月に上梓した『進行がんを克服する 希望の「がん免疫療法」』(発売:幻冬舎)の中で、そう大胆に断言する。

 その根拠となるのが「がん免疫療法」だ。角田教授は、この研究と臨床に30年以上にわたって携わり続けてきた第一人者。がん免疫療法とは何か? ごく簡単にいえば「誰もが備えている自らの体内の免疫機能で、がん細胞を死に至らしめる治療法」である。

 従来の免疫療法は「免疫力を高めることで、がん細胞に対抗しよう」というものだった。しかしこれは、いわば「正面攻撃」のようなもの。狡猾ながん細胞は、この攻撃を巧みに回避する手段を様々に講じる。

 そこで考えられたのが、がん細胞の防御機能をまず排除して、免疫細胞がきちんと働くようにする「がん免疫療法」だ。

 いま脚光を浴びている「免疫チェックポイント阻害剤」を用いた免疫療法などが、それの実例だ。2014年7月には、この療法のための薬剤が世界に先駆けて日本で承認され、免疫療法の未来が大きく広がったという。

がん免疫療法で「完治」が可能に?

 がんには「標準治療」と言われる「三大治療法」がある。「手術」「放射線」「抗がん剤」だ。しかし「ごく初期のがん」を、手術で取り除けた場合を別にすれば、三大治療法には常に「再発」と「転移」という恐怖がつきまとう。

 角田教授は「これらの療法だけでがんを十分に克服できていないことは、5年生存率の低さを見れば一目瞭然。そのため、これまでがんは『不治の病』『死に至る病』と言われてきた」と指摘する。

 ところが、「がん免疫療法」を行えば、3年後に生き続けている人は、5年後も10年後も生き続ける可能性が高いことが、集積されつつあるデータからわかってきたという。つまり、がん免疫療法は「完治」が可能となる療法なのだ。

 角田教授は、前著『進行がんは「免疫」で治す 世界が認めた がん治療』(幻冬舎)』でがん免疫療法の現状(昨年3月)に触れ、たとえ進行がんでも免疫療法で長期生存できるようになってきた、「カンガルーテール現象」が見られていることを紹介。

 本書は、その内容をさらにわかりやすく説明し、その後判明した新たな知見を加えたものだ。

 角田教授によれば、今まさにどのような治療法で、がんと闘おうか迷っている人、あるいはその家族、身近にがん患者がいて悩んでいる人、そして、将来に備えて知識をつけておきたい人などのために、できるだけわかりやすく書いたとのこと。

 具体的には、どのようなことが説明されているのか? 興味深いその内容は以下の通りだ。

●そもそも免疫療法とはどのような治療法なのか?

●がん免疫療法はどのがんに有効なのか?

●どのがん免疫療法なら保険がきくのか?

●治療費はどれくらいかかるのか?

●数多くある免疫療法のどれがいいのか?

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