アブノーマルなAVの見過ぎで普通のセックスでは勃起しない(depositphotos.com)
「結婚はしたもののセックスがうまくできず、子どもができないと相談に訪れる夫婦の中には、40歳くらいになって処女と童貞のまま結婚したというパターンも多いですね。特に最近増えているのが、男性が勃起はするものの女性の中で射精できない『膣内射精障害』です」
こう話すのは、獨協大学埼玉医療センター副院長で泌尿器科医の岡田弘教授。岡田氏のインタビューは、すでに3回にわたって本誌でも掲載したが、岡田氏が射精障害の原因のひとつとして上げるのが、「アダルト動画の蔓延」である。
参考:インタビュー「『射精障害』での不妊が増えている」
第1回:妊活カップルを悩ます「射精障害」 中で出せない「膣内射精障害」が急増
第2回:処女と童貞で結婚、一度もセックスができない<未完成婚>の原因は……
第3回:妊活はシチュエーションを変えることも大事 不妊治療は愛情の確認から
「アナルセックスとか近親相姦とか、バーチャルな変わった動画ばかり見ている人に多いのが、興奮するための快感の閾値が上がりすぎているケース。アブノーマルな動画ばかり見すぎて、もはや普通のセックスでは興奮できなくなっているのですね」
そもそも勃起もしないので挿入が叶わないという場合は、ED治療薬を処方することになる。現在、日本で認可されているED治療薬は「バイアグラ」「レビトラ」「シアリス」の3種類。
元祖ED治療薬のバイアグラが一番聞き覚えがある人が多いだろうが、現在、治療現場で好まれているのは「シアリス」だという。
ED治療薬「シアリス」の利点とは?
「私はまず、バイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類を渡しておいて、一番気に入ったのを使うように指示する場合が多いのですが、若い人ほどシアリスを好む傾向にありますね」
「シアリスには心臓もドキドキしてくる作用があるのですが、『このドキドキも薬が効いてきた感じがしていい』と言う人も多いです」(岡田教授)
岡田弘教授と同じく獨協大学埼玉医療センターの泌尿器科医の小堀善友医師も、シアリスの利点についてこう述べる。
「バイアグラは食後に飲むと効かなかったりすることがあるのですが、シアリスは食事の影響を受けませんし、前日に飲んだら次の日も効いているので使いやすい。土曜日に彼女と会ってセックスするから、金曜日に前もって飲んでおくという使い方ができるので、実用的なんです」。
一方、岡田教授は、ED治療薬も効かない場合について、「ベニスの中に勃起させる装具を移植する『プロステーシス』という手段もありますが、これは機械的にペニスを硬くさせるだけなので、男性にとっては快感につながらない。どうしてもセックスを成立させたいときの、最後の手段といっていいでしょう」と話す。
使いやすい薬があることを聞くと安心するが、現状ではなんとか勃起できる人にとっては、「いつまでも薬に頼らずセックスライフを楽しみたい」というのが正直な願望だろう。EDにならずに年齢を重ねるためには、どのようにすればいいのだろうか?
小堀医師は「日本性機能学会が出している『ED診療ガイドライン』には、EDを引き起こすリスクファクターとして12項目をかかげています」と話す。