不妊治療のスタートはお互いの愛情の確認から(depositphotos.com)
「うまく子作りができない、セックスができない」という悩みを抱えた夫婦が増えている――。「非婚化」「晩婚化」と並んで、結婚した夫婦の間でも子供ができなくなっていることが、人口減少の一因であることは論をまたない。
前回は、結婚してからも1回もセックスできていない夫婦(未完成婚)の事例を紹介したが、それがすべてのケースではない。結婚前のつきあっているときには普通にセックスできていたのに、いざ結婚して子づくりするとなると、途端に勃起や射精ができなくなってしまうケースも多いという。
今回も獨協医科大学埼玉医療センターの泌尿器科主任教授・岡田弘氏に、その実態を聞いた。
セックスのシチュエーションを変えたらできた!
「結婚前に避妊していたときはできていたのに、いざ奥さんと子どもを作りたいと思うとできなくなってしまう。それは、大きな責任とストレスがかかるからです。妻だけとはできない『妻だけED』という言葉もありますが、これは奥さんが大事な人だからできないのですね」
「しかし奥さんとしては『自分に魅力を感じなくなったからできなくなったのだ』と思ってしまう。まずは、そうではないんだということを、よく夫婦で話し合うことが必要です」
不妊治療を始めると、まずは排卵日に合わせてセックスするように指導されるが、これによって余計にできなくなってしまうことも多い。これを岡田教授は「排卵日うつ」と呼んでいる。
「普通の男性は誰かに『やりなさい』と命令されてするセックスには慣れていないわけです。AV男優じゃないんだから、そんなに自由自在にセックスできないですよ」
「排卵日が近づくと奥さんが『がんばろうね』とメールを送ってきたり、精力がつきそうなものを食卓に並べたりする。すると大きなストレスがかかって、ますますできなくなってしまったりします。本当はお互いのことを思いやっているいい夫婦なのに、これでは可哀想ですね」
なかには「セックスのシチュエーションを変えてみたらできた」というケースもある。
「ラブホでないとできないとか、ベッドではなくソファがいいとか、お風呂場がいい……男性のなかには、いろいろな人がいます。家ではできないけど、旅行に行ったら、その先でできたりする」
「もし、ご主人がセーラー服姿で欲情するのなら、奥さんが着てみせてもいい。夫婦でやる分には何も公序良俗に反していないのですから、ぜひ試してみる価値はあります」