スマホは使うほど幸せが減る!? 幸福度が高かった1日の利用時間は……

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スマホ所有率50%超えから幸福実感が急速に低下

 報告論文によれば、1990年代以降、デジタル機器の利用拡大につれて、米国内の中高生が実感する幸福度が低下し始める。なかでも米国民全体のスマホ所有率が50%超えた2012年が象徴的な分岐点であり、その時期を境に、10代の幸福実感が急速に低下し始めたという。

 今回の結果を踏まえて「中高生のデジタル機器の利用時間を制限する必要がある」と指摘するTwenge氏らが、一つの尺度として挙げているのが「2時間以内」。

 利用時間を減らした分、友人と交流したり、運動で汗を流したりすべきとアドバイスしている。こうした心掛けを持てば、きっと「いま以上の、より幸せな気持ちが持てるはず」と研究陣は利用時間の短縮化を呼びかける。

 また、米レノックス・ヒル病院のMatthew Lober氏(精神科医)も「彼らの研究成果が因果関係を証明したものではないけれども」と前置きしつつ、「他人との対面による交流や、運動をうながす重要性を再認識させるきっかけとはなるだろう。その点では評価に値すると思う」とコメントしている。

「アウトドア派」のほうがスマホ熱中度が高い?

 このような米国発の最新知見を紹介しながら、最後に水を差すわけではないが……。

 2016年5月に独立行政法人・国立青少年教育振興機構が発表したスマホ関連の調査結果が、なかなか面白いので触れておこう。

 同調査(実施対象:全国の公立小中高生約1万8000人と小学生の保護者)から読み取れた傾向の一例が、家庭内のお手伝いをよくする子や「朝は自分で起きる」などの生活習慣が身についている子は「スマホ熱中度」が低いというもの。

 また、今回の論文主張と対照的というか、デジタルネイティブの侮れなさを示しているのが、「海や川で泳ぐ」などの自然体験が最も多い群でのスマホ利用率だ――。

 「よく遊ぶ派」とも呼べるこの群では、スマホ熱中度が最も高い子どもの割合が19.2%にのぼり、「自然体験の少ない群」の16.6%を上回っていたのだ。

 「野外体験を積む子は友だちが多く、スマホをコミュニケーションツールとして使っている可能性がある」とは、同調査に携わった千葉敬愛短大の明石要一学長が朝日新聞の取材に応えた分析談だ。

 これは日米の児童間格差というよりは、デジタル機器との付き合い方をめぐる世代間の(本音と建前の)見解相違だと思うのだが……。さて、両国の子どもたちに訊いたら、それぞれ何と応えるだろうか?
(文=編集部)

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