香料には多種類の危険な合成化学物質が
芳香剤や柔軟剤などに使われている香料には、多種類の危険な合成化学物質が使われています。香りづけ製品に使われている香料の99%は合成香料で、日本では約300種類近く製造されています。その中の十数種類をブレンドして香料として使っているわけです。
しかし、どんな合成化学物質を使っているかは、「企業の最高秘密のひとつ」になっています。つまり、「香料」と表示されている中には、10種類以上の合成化学物質が隠されているわけです。
天然に存在せず、人工的に合成された香料を、「合成ムスク類」といいます。これらには、DNAを傷つける変異原性が強いものも多くあります。変異原性が強い化学物質は、高い確率で発がん性もあります。しかも合成ムスク類は、分解がしにくい性質のため、人体への蓄積が懸念されます。
実際、2005~07年に行った熊本大学・佐賀大学の共同研究で、日本人の母乳や脂肪組織に合成ムスク類の「HHCB」と「AHTN」が蓄積していることが明らかになっています。
芳香剤などの香料は大半が合成ムスク類です。早急に使用規制をしないと、「香害」は深刻化するばかりです。
小中学校や幼稚園でも「香害」が発生
昨年の夏、NPO法人「日本消費者連盟」(日消連)が、2日間にわたって「香害110番」を実施したところ、213件もの相談が寄せられました。
日消連の報告で深刻なのは、小中学校や幼稚園でも「香害」が発生していることです。今では子供も、男女を問わず、制汗剤を使うのは当たり前だといいます。制汗剤は合成ムスク類で強い香りを出したものがほとんどです。そのため「教室中にニオイが広がって倒れそうになる」という声が、児童・生徒だけでなく、学校職員からも「香害110番」に寄せられたといいます。
子供の時から合成ムスク類に曝されていけば、蓄積量も多くなり、将来どんな健康被害に遭うか分かりません。野放しになっている香り付け製品には、なんらかの規制が必要でしょう。
(文=郡司和夫)