消費者庁は「湯たんぽによる低温やけどに関する注意」を発表(depositphotos.com)
連日連夜、冷え込みが厳しい。湯たんぽや使い捨てカイロが手放せない。
2017年12月6日、消費者庁は「湯たんぽによる低温やけどに関する注意」を発表。就寝時は布団に入れたままにせず、温まったら取り出すようにアドバイスしている。だが、湯たんぽを朝まで布団に入れたまま寝ている人が多いだろう。
湯たんぽや使い捨てカイロは、使い方を間違えると低温やけどを招く。どのような注意が必要だろう?
気づきにくく、重症化しやすい
『新版 今さら聞けないスキンケアの正解』 (主婦の友社/よしき皮膚科クリニック銀座・吉木伸子院長)によれば、低温やけどとは、40度から60度くらいの、比較的低温で受けるやけどだ。40度で約6時間、44度で2時間、50度で2~3分で低温やけどを生ずるが、体質、部位、熱源によって時間は異なる。
人間の皮膚温は36度程度だが、40度でも長時間さらされれば、皮膚のタンパク質が熱変性して壊死する。それが低温やけどだ。温熱熱傷(熱湯、火焔、蒸気などの熱による損傷)の1つで、低温熱源による熱傷を指す。起こしやすい部位は、かかと、くるぶし、すねなど皮膚の直ぐ下に骨がある部位が多い。
また、低温やけどは、若い人よりも高齢者や糖尿病などの持病がある人に起きやすい。健康なら体をずらして避けられるが、糖尿病の神経障害のために感覚が低下していたり、脳梗塞や骨折などで体を動かしにくい状態なら、湯たんぽなどに皮膚が長時間触れたままにになる。寝たままの乳幼児にも注意が必要だ。
最初は、皮膚がやや赤くなる程度なので、皮膚の変化も目立たず、痛みも弱い。だが、数日後に皮膚が黒ずみ、皮膚の深部に穴が開くように崩れる。
このように自覚症状が乏しく、受診まで時間がかかることが多いため、受診時には皮膚の皮下組織が破壊され、手術が必要になる場合もある。治療に1カ月近くかかったり、やけどの痕跡が残ったりする。気づきにくいために、重症化しやすいのが、低温やけどの最大のリスクだ。