乾癬とは、どのような病気か?
道端アンジェリカさんも告白し、知られようになった乾癬とは何だろう? 東邦大学医療センター大森病院皮膚科・乾癬専門外来を担当している橋本由起医師によれば、乾癬の症状は、①皮膚が赤くなる(紅斑)、②皮膚が盛り上がる(浸潤)、③銀白色の鱗屑(フケのようなもの)ができて剥がれ落ちる3つの特徴がある。
最初は、頭部(主に髪に覆われている部分)に脂漏性皮膚炎と似たような皮膚症状や、下腿(膝から下)の皮膚症状から始まり、徐々に身体全体に皮膚症状のほか、関節の痛みや変形を伴う。
皮膚症状だけの「尋常性乾癬」は、全患者のおよそ9割を占める。皮膚症状に加えて、リウマチのような関節の痛みや変形を伴う「関節症性乾癬」もある。
その他、溶連菌などの感染症に罹患した後に、水滴ぐらいの大きさの皮疹が急に全身に現れる「滴状乾癬」がある。湿疹のような症状のため、放置すると尋常性乾癬に移行する場合もあるので危険だ。
また、発熱(灼熱感)や寒気、全身の倦怠感、むくみ、関節痛などを伴い、急激に全身の皮膚が赤くなり、うみをもった膿疱(のうほう)が多数現れる「汎発性膿疱性乾癬」もあるので侮れない。
発症者の男女比は8対2。20~40代の働き盛りの男性が発症しやすく、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症(痛風)、動脈硬化症、心筋梗塞などの既往歴を持つ人が多い。
発症原因は、サイトカインと呼ばれる免疫に関わるタンパク質が過剰に増えるため、皮膚症状や関節症状などの炎症症状を引き起こす。最近の研究では「IL-17A(インターキロン17A)」というサイトカインが乾癬の発症に深く関わっている事実が判明している。
メタボリック症候群の人が乾癬を発症しやすいのはなぜか?
メタボリック症候群の人に乾癬の発症者が多いのはなぜか?
最近の研究によると、脂肪細胞から分泌されている「アディポカイン」という生理活性タンパク質が乾癬の炎症に関わる機序が分かっている。肥満が進むと、悪玉ホルモンとなる炎症性アディポカインの分泌が過剰になるので、肥満の人は乾癬を発症しやすくなる。さらに、皮膚症状や関節症状以外にも代謝障害や血管障害など生命に関与する疾患を発症するリスクがあるので注意が必要だ。
だが、過体重の状態からダイエットし、脂肪細胞を減らせば、乾癬の症状は改善に向かうとされている。喫煙、紫外線、化学物質、ストレスなどを避けるのも肝要だろう。
なお、近年登場して治療の選択肢を飛躍的に広げたバイオ製剤(生物学的製剤)など、最新の治療方法については、当サイトで以前に掲載した記事(「乾癬(かんせん)」はメタボの男性が発症しやすい! その治療法は? バイオ製剤とは?(後編))を参照してほしい。
(文=編集部)