「乾癬」はメタボの男性が発症しやすい(depositphotos.com)
道端アンジェリカさんがカミングアウトしたことで有名になった「乾癬(かんせん)」という病気。実は8対2で、圧倒的に男性のほうが発症者は多いのだという。外見的な問題から、いわれのない差別を受けたりすることで、うつ状態に陥る人も多い。後編では、近年登場して治療の選択肢を飛躍的に広げたバイオ製剤(生物学的製剤)など、最新の治療方法について紹介する。東邦大学医療センター大森病院皮膚科・乾癬専門外来を担当している橋本由起医師に話を聞いた。
乾癬の治療方法は?
乾癬の治療では、主に4種類の治療方法が用いられる。
まずは局所療法としての「外用薬」が挙げられる。「外用薬とは、塗り薬のこと。ステロイド外用薬や活性型ビタミンD3外用薬、また近年ではこの2種類の外用薬を混合した配合剤も発売され、それらを症状に応じて使い分けながら使用される。まず外用薬を用いて症状が改善するか様子を見て、外用薬で症状がうまくコントロールできなければ、全身療法を考えていく」と橋本医師。
全身療法には「光線療法(紫外線照射)」「内服療法(飲み薬)」「『生物学的製剤(注射・点滴)」がある。
「外用薬では改善が認められなかったり、皮疹が広範囲に及ぶようなときは、光線療法や内服療法を検討する。光線療法は、紫外線照射器を使って患部に紫外線を照射する。また内服療法では、皮膚細胞の異常増殖を抑えるレチノイド、免疫反応を抑えるシクロスポリンやメトトレキサート(保険適用外)を使いる。メトトレキサートは関節リウマチの治療薬として保険適応となっているが乾癬では保険適応外である。乾癬では皮膚を作る際に必要な表皮ケラチノサイトのターンオーバーが過剰に亢進しているため皮膚の過剰増殖を認めるため、メトトレキサートはこの表皮ケラチノサイトのDNA合成(複製)を抑制することで、皮膚症状を改善する作用がある」