糖質制限はアトピーまで治す(depositphotos.com)
「糖質制限」がダイエットや糖尿病治療で注目を浴び始めたのは10年ほど前だろうか――。今ではすっかり定着し、「糖質オフ」を売りにした商品も多い。
糖質制限の波はさらなる広がりを見せている。皮膚科でも、アトピー性皮膚炎、ニキビ、シミ、シワなどの改善に糖質制限が取り入れられているのだ。
須階富士雄医師(芝皮フ科クリニック院長)は、皮膚科においては、「①糖化」「②エネルギー代謝」という、2つの観点で糖質制限を行ったほうがよいと語る。自ら3食とも徹底して「糖質を制限」をし、「すこぶる快調」とコメントする須階医師に、その効果を解説してもらおう。
体内の糖が慢性炎症を引き起こす
私たちが摂取した糖質の量が多すぎると、血液中のグルコース(ブドウ糖)が過剰になる。そしてグルコースは細胞や組織のたんぱく質と結びつき、体温で温められて「糖化」が起こる。
食パンをトーストしたときに、こんがりと焼ける。これも「糖化」だ。糖化した食パンはおいしいが、人間の皮膚のたんぱく質の糖化は問題を引き起こす。その代表が「シミ」「シワ」「くすみ」だ。
さらに、須階医師は「糖化は『慢性炎症』を引き起こします」と指摘する。たんぱく質が糖化されて「AGEs」ができると「活性酸素」が発生する。活性酸素はむやみやたらに細胞を攻撃するので、炎症が起こりやすくなるのだ。
炎症は「火事」にたとえられる。火がくすぶっていると、風が吹いただけで炎が上がり始め、火事になる。皮膚では、糖質の継続摂取で常に軽い炎症が起こっていて、ストレスや湿度の変化などですぐに悪化し、強いかゆみが発生するのだ。