予防も手術もほぼ不可能
だが、この投稿で告知していた<クマの湯バンド>のお披露目は成就しなかった……。
死因の脳幹出血は、ミュージシャンの故・桑名正博さんも襲われた脳内出血でも重篤なもの。高血圧などの生活習慣病や動脈硬化の進行などで脆弱になった部分に発症する。
決定的な予防策にも乏しく、発症はなんの前触れもなく突然に訪れ、生存率も極めて低い。<脳幹>は呼吸や心臓の動きなどを司る中枢だ。頭痛に伴ない、吐き気やめまい、手足の痺れや意識障害などにも見舞われる。
手術ができる脳外科医も国内で数名といわれ、手術の適用も実質不可能。奇跡的に一命を取りとめても、後遺症は免れない恐ろしい疾患である。
脳幹出血が多いとされる年齢は40~50代とされ、とりわけタバコやアルコールを多く摂取している人たちの発症率が高いという。
田中さんが倒れた49歳という年齢、お酒好きという暮らしぶりを鑑みれば、冷や汗をぬぐう読者もいるかもしれない。
「人懐っこくて、優して……」とは、声優仲間が異口同音に悼んだ田中さんの性格。声優としては、一つの作品内で何役をもこなせるような幅の広さが重宝がられた存在だった。
田中さんの一周忌を迎え、あなたの好きな出演作で故人を偲ぶのも一考かもしれない。
(文=編集部)