ダンスで脳が若返る! 運動で記憶を司る「海馬」が増加してアルツハイマー病を予防

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ダンスで脳が若返る(depositphotos.com)

 最近、ドイツの神経変性疾患センターの研究者らが「定期的に身体活動に参加している高齢者は脳の加齢による変化を食い止めることができる兆候が現れた」という研究結果を論文にまとめた。

 研究の概要は、63〜80歳の52名の健康な高齢者を対象に検討を行い、ランダムに2群に分けて、1群(26名)はダンス教室、別の1群(26名)は柔軟性トレーニングを、週1回合計18か月間実施した。

 その結果、両群とも脳の「海馬」領域の容量が増加した。ダンスを行なったグループはさらに、海馬の容量が増加し、さらにバランス能力も向上したという。

記憶を司る脳の「海馬」とは?

 海馬は脳の中でも近年、最も注目されている領域だ。脳の中にある小指ほどの領域であり、1958年にイタリアの解剖学者が「海馬(Hippocampus)」と名付けた。

 役割としては「記憶」を司ることがわかっている。てんかんの治療のために海馬を取り除く手術を行ったところ、以後その患者は長期記憶ができなくなってしまったことより、その役割が発見された。

 また「学習能力」にも関係しており、「海馬領域の減少はアルツハイマー病の原因」ともされており、さらに「心的外傷後ストレス障害」や「うつ病」の人は海馬が萎縮することが、今までの研究でわかっている。

 2004年に雑誌『Neurology』で<海馬は自然に10年ごとに2-3%の萎縮が生じている>との研究報告が出された。病気などがなくとも衰えていくこともわかっている。

 最近では身体のバランス維持にも影響があると言われている。バランス能力は、高齢者の転倒によるケガや、社会参加、Quality of Life(生活の質)に関わってくるため、海馬は脳の中でも非常に重要な役割を果たしているといえる。

三木貴弘(みき・たかひろ)

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の理学療法を学ぶ。2014年に帰国。現在は、医療機関(札幌市)にて理学療法士として勤務。一般の人に対して、正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。お問い合わせ、執筆依頼はcontact.mikitaka@gmail.comまで。

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