シリーズ「あの人はなぜ死に急いだのか?スターたちの死の真相!」第5回

酒好き芸人・春一番の命を奪った「肝硬変」~バーボンのロックを連日1リットル痛飲……

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γ-GTP値が1500!正常値の30倍に

 そもそも春一番さんは、入院騒動の3年以上前(2002年5月)に、バラエティ番組『内村プロデュース』の健康診断企画内で「不健康芸人のサンプル」とも呼ばれていた。

 事実、その出演時のγ-GTP値が1500‼ 成人男性の同正常値が10~50なので、上の数値でも実に30倍! 500でも「超高度」の判定なので、その場で医師陣から入院を言明されたのは言うまでもない。しかし、その後の3年間を、春さんがどう過ごしたかは、上記の入院結果が物語っている。

 猪木氏のビンタ効果で(?)退院できた春一番さんは、およそ1年後にはテレビ番組で復帰。その後も営業や単発のテレビ出演で猪木モノマネ一筋の日々を送っていたが……。

 2014年の7月3日午前7時前、隣で寝ざめた綾夫人が異変に気付いて119番し緊急搬送された。故人に代わって最後のブログ更新を綴った綾夫人が、その朝の様子を書いている。

 <目覚めて隣の春さんを見ると春さんの顔が真っ白に見えました。/これはいけない!低血糖だ!と思い春さんの頬を触りました。頬、おでこ、と触って冷たいので、布団を剥ぎ胸を触りました。/胸も冷たいのですぐに119番に『主人が冷たい!顔が白い!糖尿なんです』と電話をしました。>

 駆けつけた救急隊員のAEDや心臓マッサージ、搬送先の医師らの蘇生努力も虚しく午前8時1分、春花直樹さんの臨終が確認された。死因は「肝硬変」、享年47歳だった。

肝硬変とはどんな病か?

 ウイルス性やアルコール性の肝炎が主因の「肝硬変」――。

 肝細胞が壊れる(死滅や減衰)に伴ない、その部分に繊維が置換され、読んで字のごとく「肝臓が硬く」なる。見た目もこぶ状のゴツゴツ臓器となるが、諸々の要因から生じた慢性肝炎が治癒せず、それなりの期間を経た「終末像」である肝硬変は、独立した疾患とも言い難い。

 余剰能力に富んで組織再生能力にも長ける肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝硬変初期(代償期段階)は無症状である場合が多い。しかし、肝機能が損なわれ、繊維化が高度に進行すれば非代償性肝硬変となり、吐血や黄疸の症状、肝性昏睡などの合併症が現われる。

 現状、肝硬変は「完治できる病」ではなく、治療も「残された肝臓機能を維持する」のが基本だ。進行すれば最終的に「肺不全」「消化菅出血」「肝がん」の3つが主な死因となる。

 過度の酒好きを御亭主を持ち、さぞや御苦労が多いのでは……綾夫人はよく、周囲からそう心配されたそうだが、春の人柄と酒の関係についてはこう綴っている。

 <普段の春さんは穏やかでお酒を呑んでも変わらず穏やかで、甘えん坊で、淋しがりやで、陽気で、人なつこくて可愛い人です。>

 <葬儀・告別式では出棺前にもう我慢しなくていいよ…と、春さんにワイルドターキーを呑ませてあげました。2005年大病から復活して禁バーボンをしていたので思う存分呑ませました。>

 水道橋博士によれば、猪木モノマネのみを貫いた春一番の芸風は「『1、2、3、ダァー』の掛け声だけでギャラが取れる、最もコスト・パフォーマンスの高い営業」だった。

 自ら「収入の9%が猪木さんからのお小遣い」と公言していた春一番さん。そのモノマネを唯一公認していたアントニオ猪木氏は彼の訃報に触れ、次のように追悼の意を示した。

 「贈る言葉にふさわしくないと思いますが、敢えて、『元気ですか~!』を贈ります」

 出棺時も「俺が死んだら皆で『ダァー!』をやってくれ」という遺志が汲まれ、綾夫人の音頭取りで天国へ送り出された。「元気ですかァーーッ。この調子で、2020年東京オリンピックまで生きてる予感ですな」とは、急逝直前の7月1日、春自身が前掲ブログに綴った投稿内容。予感は外れた……。
(文=編集部)

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