腸内フローラの次は<中耳フローラ>? 細菌叢が慢性中耳炎の鍵を握る可能性

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解明が進む慢性疾患と細菌叢の関係

 南氏らは「ヒトの中耳には、これまで考えられていた以上に多様な細菌が生息していることが明らかになった。中耳の細菌叢の変化は、活動性炎症を伴う慢性中耳炎に関与している可能性がある」と結論付けている。

 この報告を受け、「耳の感染症について理解を深める重要な一歩となる研究結果」と評価するのは、米コーエン小児医療センターのSophia Jan氏だ。同氏は「この研究から分かったのは、慢性の感染症の有無にかかわらず、ヒトの中耳には多数の細菌が生息しているということ。つまり、一部の細菌は問題を引き起こさないことが示唆される」と説明している。

 その上で同氏は、今回の研究結果から新たに多くの疑問点が浮かび上がってきたと指摘。「特定の細菌が非活動性あるいは活動性の炎症の原因となっているのか、あるいは遺伝的に耳漏を伴う慢性中耳炎のなりやすい人で特定の細菌が増殖するのかなど、今後明らかにされるべきことが数多く残っている」と話している。

 なお、学会発表された研究は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

 <腸内フローラ>に<口腔フローラ>の研究、さらには皮膚疾患と皮膚常在菌の関係の研究など、疾患と細菌との関係性がしだいに解明されつつある。

 さて、今度は<中耳フローラ>なのか!?

(文=編集部)

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