「iPS細胞」による「血小板」の量産がスタート! 献血に頼らずに「血液製剤」の安定供給が可能に

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

なぜ血小板(血液製剤)の量産態勢が可能になったのか?

 さて、このような献血によって作られる輸血用血液製剤には、血小板のほか、出血防止に必要な血中の成分を取り出した血漿製剤(保存期間1年)、外科手術の出血時などに使われる赤血球製剤(保存期間21日)がある。

 止血に重要な役割を果たす血小板は、巨核球という細胞から分離して生成される。血液中を循環しながら、止血に利用されなければ崩壊し、自ら分裂できないので、常に巨核球から必要量が補充されている。

 今回の研究の流れを整理するとこうなる――。皮膚細胞由来のiPS細胞から造血前駆細胞を作る→この造血前駆細胞に細胞を増やす遺伝子、老化を防ぐ遺伝子、細胞死を防ぐ遺伝子の3遺伝子を導入する→長期間にわたって自己複製できる巨核球前駆細胞を誘導・作製する→巨核球前駆細胞を冷凍し、長期保存する→必要に応じて血小板を輸血に利用する。

 つまり、1回の輸血では患者1人当たり約2000~3000億個の血小板が必要だが、従来の方法では約10億個しか供給できなかったが、今回の研究では巨核球のもととなる巨核球前駆細胞を作れるため、血小板の量産態勢が可能になったのだ。

若い世代の「献血」が高齢者を支えている

 現在、深刻な貧血や出血素因を持つ重篤な血液疾患の患者は、献血による血小板を用いた輸血に頼らざるを得ない。たとえば、血小板輸血不応症の患者は、血液型(HLA/HPA)が一致する登録済みのドナーから輸血用血小板を供給してもらうねばならないが、安定供給は非常に困難だ。

 しかし、iPS細胞から血小板を量産できれば、患者自身やドナー由来のiPS細胞から作製できるので、将来にわたって必要な血液製剤を安定供給できるだろう。

 東京都の年代別輸血状況調査(2015年)によると、輸血用血液製剤の約85%は50歳以上の患者に使われ、献血者の約78%が50歳未満(その内の約27%は16~29歳)だ。つまり、若い世代が高齢者を支えている構図だが、少子高齢化が進めば進むほど、輸血用血液製剤が不足する事態を招く。

 今回の技術は、このような厳しい輸血用血液製剤の現状を打開する根本的なブレークスルーになるのは確かだ。iPS細胞の限りないポテンシャリティは、人類の未来に希望をもたらしてくれる。
(文=編集部)

難治性むちうち症からなぜ多くの不定愁訴がおきてしまうのか?
難治性のむちうち症を改善 後編 東京脳神経センター 整形外科・脊椎外科部長 川口浩医師

前編『画像診断できない難治性のむちうち症を独自の治療法で改善』

原因不明で治療法がなく多くの患者さんが回復をあきらめていた難治性のむちうち症。東京脳神経センターで進む独自の治療で、めまい、動機、吐き気などの全身症状やうつ症状などの不定愁訴が大幅に改善しているという。その具体的な成果についてお話を伺った。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 顕歯会 デンタルみつはし 理事長…

三橋純

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆