今年の『はたちの献血キャンペーン』CM
先日のNHK杯(GPシリーズ最終戦)で世界歴代最高得点を弾き出し、「もはや異次元!」とまで絶賛されたフィギュアスケート五輪王者の羽生結弦選手(20)。フリーの200点台、合計300点台はいずれも史上初の大快挙。本人も松岡修造氏の取材に「連覇云々よりも(この点数に)僕自身がこの先どうするのよ、って感じ」と、ゆづ笑みにやや戸惑いを交えた。
羽生選手といえば忘れもしない昨冬の中国杯最終日(11月8日)の着前練習で中国選手と正面衝突し、額と顎から流血しながらも応急処置後に銀メダルを獲得…あの上海の衝撃から約一年後にジャンプ新時代の地平を自ら切り拓いたのだから、やはり「絶対王者」だ!
献血で子息の入試加算という中国式…。
点数と中国の話題が続いたので、さらに献血のネタを絡めて三題話をしてみよう。というのも羽生選手、あの衝突劇から再び冬期を迎えた今春(1月1日~2月28日)は「はたちの献血キャンペーン」のキャラクターに就任してCMにも出ていたから満更無縁の話題でもない。が、そんな彼も点数と中国をめぐるこんな異次元話はきっと御存じないだろう。
なんでも人民の献血離れが深刻化している中国では「親が献血すれば子供の進学を優遇する」という奇策が各地で呼びかけられているとか。いまや1点差が将来の明暗を分ける受験戦争下の中国、親が8.000CC献血すれば中学入試の成績を+3点、6.000CCは+2点、4.000CCは+1の加算というが…来年の受験組は積算の歳月に乏しく不公平、健康状態から献血を拒否される親子は立場上不利など、一部の保護者からは批判も起きているという。
(大紀元:http://www.epochtimes.jp/jp/2014/09/html/d37506.html)
今年の流行語大賞にも「爆買」が選ばれて今年は中国人の異文化ぶりが何かと話題を呼んだ一年だが、前述の“献血離れ”に関してはわが国の現況も笑ってばかりはいられない。
羽生選手起用の広報コピーが「いのちをつなぎとめる、ぼくたちにできること。」であったが、この10年間で10代・20代の献血者数が23%減という深刻な事態が現在進行中。少子高齢化の列島で輸血を必要とする人の数(1日平均3.000人)は年々増えており、ただでさえ献血者が減少しがちな冬期の救世主が今年の場合、20歳の羽生選手だったわけである。
1社のフィルターしか使えない日本の輸血事情…。
歴代でも「はたちの献血」PRには武井咲・新垣結衣・栄倉奈々・市川由衣・深田恭子らの女優勢、スポーツ界からは石川遼・田中将大選手、さらに魔法少女まどかマギカや涼宮ハルヒ・初音ミクなどのアニメ/漫画キャラも起用されてきた。なかなかに華やかなキャンペーンの主催は例年「厚生労働省/都道府県/日本赤十字社」の三者だが、その裏側では既得権益の弊害という日本独自の制度が抱える積年の問題が渦巻いているのも事実。