シリーズ「再生医療の近未来」第8回

「自己増殖能」を活用した歯の再生医療――歯髄幹細胞から作ったiPS細胞は20%に移植可能!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
017306-2.jpg

乳歯や親知らず(歯胚)の歯髄細胞からiPS細胞の作成に成功(shutterstock.com)

 「さぁ、ヤケのヤンパチ、日焼けのナスビ、色が黒くて食いつきたいが、わたしゃ入れ歯で歯がたたない!」

 ご存知、映画『男はつらいよ 寅次郎物語』でフーテンの寅さんが放つ威勢のいいテキ屋の口上。入れ歯で歯がたたないのは、当たり前。だが、歯がゆい、歯ぎしりする、歯に衣着せないなどと、日本人は、歯を茶化しつつ、音感的・触感的な物言いを愉しんでいるフシがある。

 瞳が澄んで歯が白い美人を明眸皓歯(めいぼうこうし)と持ち上げる。白い歯と笑顔で心を許すと見せかけて、目には目を!歯には歯を!と一転逆襲パンチを食らわせる。寅さん、美人は油断ならないね!ホント……。

 さて、閑話休題。今回は、歯の再生医療をできるだけ歯切れよく話そう。

歯の再生医療は、どこまで進んでいるのか?

 ES細胞やiPS細胞は、受精卵や皮膚などの細胞を人工的に培養し、どのような組織や臓器にも成長できる多能性幹細胞だ。多能性とは、無限に増殖できる能力(無限増殖能)と多種類の細胞に分化できる(多分化能)を合わせ持った細胞の働きを言う。

 幹細胞には、多能性幹細胞のほかに、組織幹細胞(成体幹細胞または体性幹細胞とも呼ぶ)がある。

 多能性幹細胞は、人工的に作られる細胞なので、自然界に存在しない。一方、組織幹細胞は、ヒトの体の中に存在し、組織や臓器の機能や体のホメオスタシス(恒常性)を維持する重要な幹細胞だ。最近の研究が急速に進み、免疫拒絶反応やがん化のリスクが低い組織幹細胞は、再生医療の切り札として、大いに期待が高まっている。

 組織幹細胞は、白血球、赤血球、血小板などの血液細胞に分化する造血幹細胞、骨、脂肪、軟骨、心筋、神経などの細胞に分化する骨髄幹細胞、お腹の脂肪などから得られる脂肪幹細胞、歯の幹細胞の4種類がある。

 歯の再生医療に使われる歯の幹細胞は、歯髄幹細胞(歯の神経である歯髄から得られる幹細胞)、歯根膜幹細胞(歯根の周りに付いている歯根膜から得られる幹細胞)、歯小嚢幹細胞(歯根の周りに付いている軟組織から得られる幹細胞)、歯乳頭幹細胞(形成途上の歯根先端にある歯髄から得られる幹細胞)、乳歯幹細胞(幼児の脱落した乳歯の歯髄から得られる幹細胞)がある。少々、言葉が紛らわしいが、続けよう。

親知らずの幹細胞を使う歯髄再生医療とは?

除菌で虫歯と歯周病を予防する「3DS」~薬を塗ったマウスピースを5分間はめるだけ
インタビュー 口腔内を除菌して全身疾患を予防する「3DS除菌」② 鶴見大学歯学部・探索歯科講座 花田信弘教授/山田秀則助教

第1回:口腔内の雑菌は100億個以上~<除菌治療>が歯周病と生活習慣病を防ぐ!
虫歯や歯周病の原因菌が、生活習慣病を引き起こす発症リスクになることがわかっているため、今後は虫歯や歯周病を直接治療するだけに留まらず、「予防歯科」の必要性が近年ますます高まってくる。鶴見大学歯学部付属病院では、3DSという治療法を用いて、歯科治療のみならず、全身疾患の予防を目的に画期的な専門外科を開設している。

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

理学療法士。日本で理学療法士として勤務した後、豪…

三木貴弘

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、厚生労働…

一杉正仁