自分が鉄分不足なのかどうかを判断する
ではどうすればいいのでしょうか? まず、あなたが鉄分不足かどうかを判断してください。自分が鉄不足なのかどうかはどうすればわかるでしょうか?
①鉄欠乏性貧血と言われている。
②鉄欠乏性貧血と言われていたが、ヘモグロビン低めだけど正常値に入った。
③ヘルシー志向で、野菜、豆腐、納豆と白身魚は好きだけど、赤身の肉や青魚は嫌い、レバーなんかもってのほか。
④大人になってから菓子パンとスナック菓子とカップ麺だけで生きてきた。
⑤いきなり厳しい糖質制限したらなんか体調悪い、エネルギー足りない感じがしてだるい。
もし、かかりつけの先生がいて、詳しく調べてくれる場合には、血算5種、血清鉄の濃度、フェリチン値、TIBCかUIBCの濃度、できれば同時にCRPを検査します。
どういう結果になれば鉄分不足、あるいは潜在的な鉄分不足と言えるのかはその先生が教えてくれます。簡単に言うとヘモグロビンが低ければ明らかな鉄不足、ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低くてCRPが正常なら潜在的な鉄不足です。
鉄分不足を解決しながら糖質制限に取り組むには
鉄分不足(潜在的なものも含めて)があるのなら、いきなり厳しい糖質制限に取り組むのはお奨めしません。まずは糖質摂取量をある程度確保して、同時に鉄分とたんぱく質をたっぷり摂取する食事がお勧めです。
お勧めの一つ目は山田悟先生のロカボ食です(参考:「糖質制限」では「どのぐらい食べて」いいのか?釜池式・江部式・山田式の違いを徹底解説http://healthpress.jp/2017/06/post-3026.html)。一食当たりの糖質摂取量40gを確保すれば、糖新生する必要はなくなりますし、ケトン体エンジンもあまり回りません。でも、食後高血糖の弊害は消えますから、糖質制限で得られる大きなメリットの一つは確保できます。
ロカボ食に取り組みながら、次第に鉄分が増えてきますので、数か月から1年後ぐらいには釜池式などにもチャレンジできる可能性が出てきます。
もう一つのお奨めは渡辺昌幸先生のMEC食です。これはMeat(肉)、Egg(卵)、Cheese(チーズ)を葉っぱ野菜などと一緒に十分に食べて、その後でさらに食べたければ糖質もどうぞ、という食べ方です。渡辺先生の患者さん(女性)で、肉を避けて玄米と野菜と豆腐ばっかり食べてジュースなどの糖質も大好きだった患者さんも、この方法で様々な不調を改善してきました。
鉄分を摂取するのにもっともよいのは動物性のタンパクの中に含まれている鉄分で、動物の肝臓(レバー)、赤い肉、青魚です。また、たんぱく質の吸収がうまくできない人ではなかなか体内の鉄分が上がってきません。肉、卵やチーズをベースに食べることで「たんぱく質+鉄分」が吸収しやすくなります。
もちろん、ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂取するために適量の葉っぱ野菜を食べるのは糖質制限においても必須です。しかし、鉄分は野菜からではなく、肉や魚から摂るようにしてください。
また、先に紹介した山田先生のロカボ食の場合も、MEC食のようなおかずの選び方をしてもらうことがとても重要です。
ヘルシーな食材には本来、鉄分とたんぱく質がたっぷり含まれています。糖質は不要です。これまで、それを十分に食べてこなかった人はそれらをたっぷり食べながら、徐々に糖質摂取量を減らしていきましょう。
◎参考図書
『日本人だからこそ「ご飯」を食べるな』( 講談社+α新書)渡辺信幸
『糖質制限の真実 日本人を救う革命的食事法ロカボのすべ て』 (幻冬舎新書)山田悟
『スーパードクターズ! いま、糖質制限がすごい! ケトン体生活のススメ』