世界最悪レベルの「日本の若者の自殺率」をめぐって本田圭佑のツイッターが炎上!

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本田はオフィシャルサイトで釈明したが……

 なかでも、ミュージシャンの米津玄師は「言ってることがよくわからない」とツイート。すると、このツイートは2万9000以上の「いいね」を集めた。

 その後のツイートで米津は、かつて親しい者が自殺したことも明かして次のように説明した。

 <人生や親に感謝するのはいいと思うんだけど、少なくとも元の記事には他人や政治のせいにして自殺した人の様子なんてひとつも出てこないし、そこからの「成功に囚われるな、成長に囚われろ」という言葉もどこから出てきたのかよくわからないっていうのが正直な感想です。>

 <「自殺する人間像」を自分の中で固定して、それを自明なことのように話すのはとても危険な振る舞いだなあと思いました。もちろんあれが彼なりの激励であり優しさであるのはわかってるつもりです。ただ自殺で知人を失った経験がいくつかあり、思うところがあったので、一応突っ込んどこうと思った次第です>

 この論争に対して本田圭佑は、オフィシャルサイトで「ツイッターでは本意が伝わらなかった」とコメントを掲載。

 「メッセージとして伝えたかったのは『死なないでほしい』、『生きていればいつか良いことがある』、『良しとする基準は自分が作ればいい』、『出来ることを見つけて少しずつ進んでほしい』ということ」ということを伝えながら、「生きる為に必死なこの世の中に究極の平等なんていうのは存在し得ない」ということも付け加え、「自分に出来ることを続け、自分の成長を実感し、自らを褒めてあげる。自分で基準や成功を決めればいいんです。自分自身こそがどんな状況をもプラスに変えられる唯一の味方なんだと信じて、一歩を踏み出してもらいたいと願っています。」と締めくくっている。

にじみ出る「強者の論理」「成功者の論理」

 命の尊さを訴えるのは至極当然のことだが、絶望のふちにいる者に「他人のせいにするな!」というメッセージは、果たしてどこまで届くのだろう。

 「成長を実感」「両親に感謝」「出来ることを見つける」という思考さえできなくなっているからこそ死を選ぶのだ。強者、成功者の論理だと揶揄されても仕方がない。

 ならば、死を選ぼうとする人に対して、どのような言葉をかければよかったのか――即答できる人も少ないだろう。

 今回の論争から何らかの意味を見出すならば、自殺を考えている者のつらさを理解することから始めよう――ということかもしれない。

 なかには本田の言葉に励まされる人もいるかもしれないが、死を選ぶ側に立たなければ解決策を見出すことは難しい。

 そして、高い自殺率から導き出される現状は、個人的な事情にとどめてはならない社会全体の問題だ。我々は、「他人のせい」であり「政治のせい」であるということを真摯に受け止めるべきである。
(文=里中高志)

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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