特集「ネットと自殺予防」第1回

ネットを活用した若者の自殺対策、日本の若者の自殺率は依然として高い!

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G7加盟国のうち15~34歳の死因1位が自殺なのは日本だけ

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 6月22日に発表された、2015年版の『自殺対策白書』によると、2014年の自殺者は2万5427人だった。

 日本の自殺者の数は、1998年以降、14年連続して3万人を超える状態が続き、「自殺者3万人時代」と言われた。それが2012年以降は2万人台が続いており、一応の減少傾向を見せている。しかし、依然として毎年2万5000人を超える人が自ら命を断っているという状況の前では、「数が減った」と単純に喜ぶことなどできないだろう。

 「国は2006年に自殺対策基本法を施行し、2007年には自殺総合対策大綱を閣議決定しました。それまで、自殺問題を公に口にすることも、スティグマ(負の表象・烙印)の問題から避けられがちだったが、国をあげて積極的に情報発信するようになり、相談窓口の情報なども届きやすくなった。自殺者が減少したことは、それらの施策がある程度、奏効してきたと言うこともできるかもしれません」

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NPO法人「OVA(オーヴァ)」代表理事の伊藤次郎さん

 そう語るのは、NPO法人「OVA(オーヴァ)」代表理事の伊藤次郎さん。精神保健福祉士の資格を持ち、精神科クリニックでの勤務経験も持つ伊藤さんは、インターネットを使った自殺予防に取り組んでいる。その活動はメディア等でも注目され、現在3人のスタッフとともに、主にメールを使った支援活動を行なっている。

 「しかし、言うまでもなく自殺した一人一人の命はたったひとつのものであって、その合計の数は、積み重なっていくものでしかないのです。自殺に追い込まれている人や残された人の気持ちを考えれば、その数字に一喜一憂することは到底できないでしょう」

若者の死因で最も多いのが自殺

 OVAでは、スマホやパソコンのインターネットを通じて自殺を思い浮かべる人の支援や相談活動を行なっている。時にはネット上だけで完結せず、実際に会って支援することもあるが、入り口となるのはやはりインターネット。必然的に、相談対象となるのは、ネットに馴染んでいる20代の若者が多い。

 そして、自殺に関する最近のデータで、全体の自殺数がやや減少するなか、その減り方が鈍く、依然、高い数字で推移しているのもこの若年層なのだ。

 『自殺対策白書』の記事を分析した朝日新聞の記事(2015年6月15日)によると、「人口10万人あたりの自殺者数(自殺死亡率)のピーク年と減り方をみると、全体ではピーク年は03年でそこから25.9%減っているのに、20代はピークが11年と遅く、減り方も14.4%と少ない。30代もピークは09年で、減少も19.1%に留まる」という。

 また、2014年版の『自殺対策白書』によれば、日本における15〜39歳の各年代の死因の第1位は自殺である。この世代で死因の第1位が自殺となっているのは、日本、フランス、ドイツ、カナダ、米国、英国、イタリアの先進7カ国では日本だけであり、その死亡率も他の国に比べて高くなっているという。

 いま、日本の若者に何が起こっているのだろうか。本来、可能性に満ちているはずの若い世代が未来に絶望し、死を選択するという現実。これは社会全体で立ち向かわなければならない深刻な課題である。インターネットの活用も含め、あらゆる世代が手を差しのべるしくみを再構築していく必要が迫られている。
(文=里中高志)

里中高志(さとなか・たかし)
1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉士。フリージャーナリスト・精神保健福祉ジャーナリストとして、『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

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