"深夜0時"の自殺予防にはネットの活用に期待が
shutterstock.com自殺者の数は、社会背景の影響を受けるのか――。自殺者数の推移の統計に基づき、それを検討した興味深いデータがある。
第183回国会に提出された「平成24年度我が国における自殺の概要及び自殺対策の実施状況」によると、戦後自殺者数は長期的に増加したり減少したりしてきたが、増加のピークは3回あったという。
1回目は昭和30年前後(昭和33年に自殺者数2万3641人)、2回目は昭和61年(同2万5667人)、そして3回目が自殺者数が3万人を超えた平成10(1998)年から14年連続して3万人を超えた平成23(2011)年までの長い期間である。
これについて同資料では次のように分析している。
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これら3つの山の要因についてみると、昭和30年前後の最初の山については、戦後の社会の混乱が残っていた時期であったことが挙げられる。この時期に自殺者数が最も多かったのは15〜24歳、次いで25〜34歳の若者であるが、戦前の価値観からの急激な転換など、社会経済的に大きな変化により悩みを抱えている人が多かったからではないかとする説や、青年期に受けた戦時体験が最も強く当時の青年層に現れたためとする説もある。
60年前後の2つ目の山については、中高年男性の自殺が多く、プラザ合意による円高誘導政策によるドルショック、円高不況が要因であるとの説がある。
平成10年の急増については、バブル崩壊による影響とする説が有力であるが、その後も変わらず高水準で自殺者が推移していることについては定説はなく、今後の分析の課題となっている。
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自殺の理由は容易に推し量れるものではないのと同様、時代状況と自殺者の増減の関連もすぐに結びつけられるものではないだろう。現在、株高円安の恩恵は、一般の庶民にはなかなか届かず、むしろ相対的貧困率は高くなり、社会の格差は広がるばかりだ。いまこそ真に有効な自殺対策が求められているといえよう。