インタビュー「目指せフサフサピンピン!男性専門クリニック」第1回・メンズヘルスクリニック東京・小林一広院長

AGA治療はコスパが重要~薄毛の悩みを抱える人は1200万人

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

薄毛治療の費用はどのくらい?

 薄毛の原因について小林院長は男性ホルモン、テストステロンの存在を挙げ、「テストステロンがジヒドロテストステロン(DHT)という物質に変わって、毛乳頭細胞にある受容体に結合することで発毛が抑制されることがわかってきた」と指摘。

 患者さんには「髪の治療で一番大切なことはできるだけ手間をかけない、金をかけない、だけど毛は戻す、この3つが大切」だと声をかけているといい、薄毛への対策としては「植毛という治療もある、薬の治療もある。現実化はしていないけど、これからは再生医療を使ったやり方も出てくるでしょう。でも、現状でいろんな可能性と現実とを見た上で一番コストパフォーマンスがいいのは何かというと薬物療法だと思います」と薬物治療を推奨している。

 日本ではAGA治療は保険適用外。治療に伴う診察費や治療薬代は全て自己負担となる。診察料や血液検査費、処方料などもかかる。

 「人によっては他の薬剤や治療法を併用することもあり、1ヶ月10,000円~30,000円が相場でしょう。治療期間としては平均的に6カ月程度とされていますから、治療効果が出るまで大体60,000円~180,000円は予算をみておく必要があります」

 だが、「植毛の場合は毎月植毛するわけじゃない。お薬は毎月飲まないといけない。初期費用は植毛の方が高くても何年かすれば薬物の方が追い抜いてしまう可能性だってある」ともコメント。

 薬物療法としては、AGA治療薬として国内でも認可され、効果と実績のあるプロペシア錠と外用薬のミノキシジルの ほかに、新たに認可されたフィナステリド錠やサガーロカプセルなどが処方される。

 もちろんAGAに効果が認められた治療薬の処方だけを目的とした診察ではなく、多くの診療科(皮膚科・形成外科・精神神経科・基礎医学)の専門医たちによる総合的なAGA治療を行っているのも特徴だ。

 検査でも通常の血圧や血液検査だけではなく、オプションとして「AGAリスク遺伝子検査(AGA関連遺伝子発現量の測定)」や「アンドロゲンレセプター遺伝子検査」「ミネラル検査」なども受けられる。「アンドロゲンレセプター遺伝子検査」ではAGAになりやすい体質かどうかが分かり、一人ひとりの治療方法を決定する上でより的確な治療が可能となるという。

患者さんとクリニックの共同作業

 薄毛治療で難しいのは治療のゴールだ。

 「発毛治療に関する医学的判断は非常に難しく、この治療はいつやめるんですかと言われても、髪が生えたから終わりというわけじゃない。やめたらまた悪くなる。薬をやめるタイミングは医者だけで決めるわけではない。患者さんの満足度を探しながらの、当院との共同作業となります」。

 適切な治療さえ行えば薄毛は必ず治るのだろうか? 「ただ全員に100点満点は出ないんです。ここの予備校に行ったら全員が第一志望に合格するとか、そういうことは薄毛の世界では絶対ない」と厳しい現実も指摘。
 
 救いやすい薄毛の人のタイプについては「AGAの代表的なものとして前頭部から後ろに広がるタイプ(M型)と頭頂部から広がるタイプ(O型)があり、一概にすべての薄毛がM型とO型に別れるわけではないですが、私たちの経験からすれば頭頂部から広がるO型は、今の医薬品ではよくなる可能性が高いという認識があります」と説明する。

遺伝型の薄毛でもあきらめてはいけない

 薄毛の要因としては遺伝の影響は大きいのだろうか? 

 「若くして薄くなっているケースはその人の親族を調べると、やはり遺伝というケースが多い。しかし、若くして重症化して、薬が効かないかというとそうでもない。効く人は効くし、効かない人は効きにくい。個人差があります。この薬を飲んだら必ず生えますよとは私たちも言えない。どうなるかは現在の医学ではまだわからないところがあるんです」と現状を説明。
 
 だが、遺伝型だからといって諦める必要もない。「遺伝の影響は確かに大きいです。しかし、私たちが一卵性双生児に着眼して研究してみたところ、ある時から別の場所で生活をしていたケースでは薄毛の進行は同じかというとそうではなかったんです。普段の生活の他の要因が影響して薄毛になっているという証拠ではないでしょうか」と説明する。
 
 クリニックではこういった様々な研究を元に薄毛の原因を分析、テストステロンの数値を調べるだけでなく、その患者さんの生活習慣やストレス、食事などにも薄毛の原因の元を探り、一人ひとりの症状に合わせたAGA治療を行なう方法をとっているという。
(取材・文=名鹿祥史)

小林一広(こばやし・かずひろ)
メンズヘルスクリニック東京院長

北里大学医学部卒業。同大学病院にてメンタルヘルスを中心とする医療に従事する。
その後、医療社団法人ウェルエイジングを設立。頭髪治療専門の城西クリニックを東京及び福岡に開院すると共に国内初の総合アンチエイジングセンター『AACクリニック銀座』を2006年3月に開院。2014年6月にメンズヘルスクリニック東京開設、現在に至る。
精神科医としての経験を生かし、積極的に心身両面からの治療に取組んでいる。

精神保健指定医、医療法人社団ウェルエイジング 理事長
聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師

バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子